2015.7.30

砂糖入り飲料は、死亡リスクを高める!?

世界で年間18万人が死亡、原因は「甘味飲料」

砂糖 甘味料糖分の多い飲料を飲むと、糖尿病、循環器系疾患、がんの死亡リスクを高めるとの報告が米医学誌「サーキュレーション」に掲載された。砂糖の多く入った炭酸飲料の摂取が原因で、世界では年間18万4000人が死亡しているという。そのうち、13万人以上を占めるのは糖尿病患者。研究結果から、糖入りの甘味飲料を削減、または排除することを世界規模で優先すべきだと警告している。砂糖入りのソフトドリンクの摂取量が1日1杯増えると、糖尿病発症リスクは22パーセント上がるとの報告もある。日本でも今年に入り、厚生労働省の有識者懇談会が、砂糖は酒やタバコと同じく健康被害をもたらすとして、課税強化を求める案をまとめた。

糖分の多い嗜好飲料を多飲すると「高血糖状態」になる

清涼飲料水、果汁入り飲料(果汁10%以上100%未満)、スポーツドリンクなどの多飲の理由に、どれくらいの砂糖が入っているのかわかりにくい、ということがある。冷たいと甘味に対して鈍感になるので、なおさら量を考えずに飲んでしまう。ペットボトル1本(500ml)中の糖分を角砂糖で換算すると、炭酸飲料には約14個分、果汁入り飲料には約13個分、スポーツドリンクには約7個分が含まれている。ちなみにWHOは、成人1日あたりの糖類摂取量を25g(角砂糖約6個分)にすることを推奨している。

もっとも気をつけなければならないのは、こうした飲料は体内への吸収が早く、血糖値の上昇も急激になること。血糖値が高くなると喉が渇き、渇きを潤すためにまた清涼飲料水などを欲するという悪循環になってしまう。高血糖状態は、倦怠感、腹痛や嘔吐、重度の場合は意識障害や昏睡状態を招く恐れがある。

知らぬ間に依存しないよう、コントロールが大切

糖分の入った嗜好飲料を飲むときには、糖質の量に気をつけ、多飲は避けよう。水がわりにせず、日常の水分補給は、水やお茶を200mlずつ1日6~8回に分けて飲むのが理想的だ。また、朝食抜きで甘い缶コーヒーを飲んだり、食事を食べ損ねたときに炭酸飲料で空腹をまぎらわしたりするのは、急な血糖値上昇と飲みすぎの原因に。家にストックしていつでも飲むことができる、デスクに必ず置いてあるなど、習慣化している人は見直しが必要だ。

これから本格的な暑さとともに、ペットボトルを携帯する人も多いだろう。糖類の多い飲料ばかり飲んでいると、血糖値の急激な上昇が身体に負担を与えてしまう。糖尿病、高血圧、心臓疾患、がんなどの発症にも関わるので、加減して摂取することを忘れずに。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部