総たんぱく(TP)
総たんぱく(TP)とは?
血液中には100種類以上のタンパク質が存在しています。その大部分は60%程度のアルブミンと、20%程度のガンマグロブリンです。総たんぱく(TP)は、こうした血液中のタンパク質の総和を調べる検査で、血液検査によって調べることができます。
総たんぱく(TP)を調べる目的
総たんぱく(TP)の増減のほとんどは、アルブミンとガンマグロブリンの変化を反映しています。こうした血液中のタンパク質を調べることは、身体の栄養状態、肝臓・腎臓の機能や免疫機能が正常に働いているか等を知るのに役立ちます。
【総たんぱく(TP)の減少※:アルブミンの低下】
血液中のアルブミンのほとんどは肝細胞で合成されることから、栄養不良や肝障害による合成の低下、腎疾患・胃腸疾患・滲出性(しんしゅつせい)疾患・体腔液の排除等による体外喪失などが反映されています。
※ガンマグロブリンの低下による減少は「無ガンマグロブリン血症(または低ガンマグロブリン血症)」という遺伝性疾患によるため非常にまれ。
【総たんぱく(TP)の増加:ガンマグロブリンの増加】
血液中のガンマグロブリンは、ほとんどが免疫グロブリン(抗体)で、細菌やウイルスなど特定の異物(抗原)を特異的に認識・結合し、感染防御や免疫反応の活性化などが反映されています。
総たんぱく(TP)の血液検査で見つけられる病気
血液検査で総たんぱく(TP)を調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
・栄養不足
・肝疾患(肝硬変などによる蛋白合成障害)
・腎臓疾患(ネフローゼ症候群など低蛋白血症)
・蛋白漏出性胃腸症
・消化器がん
・多発性骨髄腫
・自己免疫性肝炎
・急性腎炎、慢性腎炎
・慢性消耗性疾患
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
・慢性肝炎、慢性感染症、膠原病などの慢性炎症
・脱水症
など
総たんぱく(TP)の血液検査の見方
総たんぱく(TP)の判定区分は下記の通りです。
総たんぱく(TP)やアルブミンは、スクリーニング検査や診断の補助に有用とされており、多くの病態の把握に用いられています。
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総たんぱく(TP)の長所/短所
総たんぱくは、採血で手軽に調べることができます。医療機関によっても異なりますが、総たんぱくの血液検査は採血から通常1時間程度で結果を確認することができます。
採血では、消毒綿や手袋、注射針のなどの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性もあります。特に、アレルギーでよくみられるのが、感染予防に使用されるアルコール綿です。アレルギーに心当たりのある人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えるようにしましょう。
また、注射針による痛みを苦痛に感じる人もいるかもしれません。採血で極度にストレスを感じると、副交感神経が緊張して、まれに冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が現われることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
さらに、採血の手技によっては神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射の針先が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。
なお、採血後には、アザなど皮下血種ができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
総たんぱく(TP)の流れ
総たんぱくの検査では、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)