腹囲
腹囲とは?
健康診断や人間ドックにおける腹囲とは、へその高さで測る腹部の外周のことです。腹囲はメタボリックシンドロームの診断基準のひとつでもあります。
特定健診(特定健康診査)などでは腹囲を「ウエスト周囲径(長)」と呼ぶことがありますが、服の採寸などで用いる「ウエスト(へそ上の最もくびれた部分)」ではなく、へその高さから水平の外周を指します。ただし、腹部のサイズが大きくへその位置が下垂しているなどの場合は、最も下にある肋骨から骨盤の出っ張ったところの距離の中心を測定します。
腹囲測定の目的
腹囲測定は、内臓脂肪の蓄積を推定する目的で行われます。腹囲のサイズが基準値を超えていた場合、内臓脂肪型肥満が疑われます。
また、腹囲はメタボリックシンドロームの判定基準のひとつです。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加え、高血圧・高血糖・脂質代謝異常のいずれか2つ以上が組み合わさった状態を指します。メタボリックシンドロームになると動脈硬化が進みやすく、将来的に心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)などを発症するリスクが高くなります。
国が定め、40歳以上の国民を対象に行われる「特定健診(特定健康診査)」では、メタボリックシンドロームに着目した検査項目が設定されており、検査の結果、生活改善が必要とされた方には「特定保健指導」が実施されます。
腹囲測定で見つけられる病気
腹囲測定により内臓脂肪の蓄積が推定された場合、下記のような病気のリスクが高まります。
・メタボリックシンドローム
・高血圧
・脂質異常症
・2型糖尿病
・動脈硬化
・心疾患(心筋梗塞など)
・脳血管疾患(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)
など
腹囲測定の結果の見方
<腹囲の基準値>
腹囲測定の基準値は、男性が85cm未満、女性は90cm未満くです。特定健診の場合、腹囲が基準値を超えており、かつ血圧・血糖・脂質のうち2つ以上で基準値を超えると、メタボリックシンドロームまたは予備軍と判定されます。
注)特定健診におけるメタボリックシンドロームの判定基準と、日本の学会によるメタボリックシンドロームの診断基準は若干異なります。
腹囲測定の特徴
腹囲測定は、腹囲を測るだけで内臓脂肪を推定できることから、身体的負担が少ない検査です。一方で、腹囲が基準値内であってもメタボリックシンドロームの可能性を否定できない場合があるなど、腹囲のみでは身体の状態を正確に把握できません。なお、内臓脂肪型肥満の診断には腹部CT検査が行われます。
腹囲測定の流れ
医療施設によって異なりますが、所要時間は数分程度です。計測のタイミングは空腹時(食後2時間経過後が目安)が望ましいです。
<腹囲測定の方法>
1.両足をそろえて立ち、両手は自然に下げる。
2.軽く息を吐いてリラックスし、おなかに力が入らないようにする。
3.へその高さにメジャーをあて、床と水平になるように留意しながら息の吐き終わりに計測する。
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この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)