血色素(ヘモグロビン)
血色素(ヘモグロビン)とは?
血液検査における血色素(ヘモグロビン)とは、採血によって血液中の血色素(ヘモグロビン)濃度を調べるもので、検査結果では、Hbと表記されていることが多いです。
そもそも血色素(ヘモグロビン)とは、赤血球に含まれる赤い色をした成分です。血色素(ヘモグロビン)の役割として肺から身体中に酸素を運び、不要になった二酸化炭素の一部を肺まで運んでいます。
血色素(ヘモグロビン)を調べる目的
血色素(ヘモグロビン)の数値はおもに貧血と多血症の診断に用います。貧血は腎不全やがんなどほかの病気が起こしている可能性があるため、大きな病気を見つけるためにも貧血になっているか知ることが重要です。
また、赤血球の数からMCH(平均赤血球血色素量)、MCHC(平均赤血球血色素濃度)を割り出し貧血の種類の診断に用いられます。
●MCH、MCHCについての詳しい解説はこちら
血色素(ヘモグロビン)の血液検査で見つけられる病気
血液検査で血色素(ヘモグロビン)の数値を調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
・貧血
・多血症
血色素の結果数値の見方
血液検査における血色素(ヘモグロビン)の数値の見方は以下のとおりです(日本人間ドック学会より)。男性と女性で各数値が異なるので注意しましょう。
血色素(ヘモグロビン)の血液検査の長所/短所
血色素(ヘモグロビン)の血液検査は、採血のみで行えます。医療機関やその他の検査項目にもよりますが、1時間程度で結果が出る手軽な検査です。しかし、血色素(ヘモグロビン)の数値からわかる貧血などはほかの大きな病気が隠れている可能性もあるため追加で検査を行うことがあります。
採血は、針を刺しますので痛みを伴います。先端恐怖症の方や痛みが苦手な方は苦痛が大きいでしょう。針を刺す前のアルコール消毒で肌が荒れてしまう人もいます。アルコールアレルギーがある方は、非アルコール性の消毒がある場合もあるので事前に伝えておきましょう。
また、針を刺すことで、神経損傷を起こしてしまうこともあります。頻度として1万回から10万回に1回と言われており、大抵の方は2~3ヶ月ほどで自然治癒します。万が一採血時にピリッとした痛みがあればその場で伝えましょう。
なお、採血後に青くアザになってしまったりすることがありますが、数日で消失します。
血色素(ヘモグロビン)の血液検査の流れ
血色素(ヘモグロビン)の数値を調べる血液検査では、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな 台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら 針を抜く
(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
公益社団法人日本人間ドック学会「人間ドックの検査項目」血液検査
人間ドックが受診できる医療施設を探しましょう。予約数が多い施設から探す「予約数順から探す」、
エリアから探す「都道府県で医療施設を探す」「プランを詳細検索する」の3つの切り口から探すことが出来ます。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)