大腸はがんを発症しやすい臓器
大腸は胃や肺と並び、がんを発症しやすい部位である。実際、がんによる死亡数もこの3つの臓器が占める割合が大きい。そのため近年では、大腸内視鏡検査だけでなく、大腸CTという検査も普及しつつある。そこで気になるのが2つの検査法の違いだ。内視鏡とCTでは、検査の方法から見えるものまで、大きく異なっている。身体への負担と検査の精度について、2つの検査の違いを詳しく解説する。
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CTは身体への負担が小さく偶発症も起こりにくい
大腸CTと大腸内視鏡検査では、身体にかかる負担が違う。CTは装置の上に横たわるだけで、精密な画像が得られる。もちろん、医療被曝という身体への負担は避けられないが許容範囲だ。一方、大腸内視鏡は肛門から内視鏡を挿入するという、未熟な手技にかかれば肉体的苦痛を伴うことがある。処置の際には鎮静剤を用いるなど、痛みや不快感を可能な限り取り除く手法が発達してきている。
また、大腸CTはあくまで放射線を照射して画像データを得るものであるため、大腸穿孔といった偶発症が起こりにくい。大腸内視鏡検査では、実際に器具を大腸内に挿入するため、処置の最中に大腸を傷つけるリスクはゼロではない。このように、CTと内視鏡では、患者が受ける肉体的負担に多少の違いがある。では、検査結果にはどのような違いが表れるのであろうか。
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内視鏡の死角とCTが苦手とする小さな病変
大腸は上部消化管よりも複雑な形態をしている。特徴的なのが輪状ヒダという組織だ。大腸の内壁には、ヒダが無数に存在しており、粘膜の表面積を拡大している。その結果、腸管を経由する食物からたくさんの栄養を吸収できるようになっている。けれども、輪状ヒダによって粘膜の基底部が覆い隠されてしまうこともある。つまり、内視鏡検査では死角が生まれることがあるのだ。もしも輪状ヒダの下にポリープがあったとしても、それは内視鏡では確認できない。
一方、CTであれば複数の方向から放射線を照射して、ヒダの裏側の情報まで得ることができる。3次元的に再構築された画像に死角はない。これはCTと内視鏡の大きな違いといえる。ただし、大腸CTにも短所がある。それは表面型と呼ばれるのっぺりとした平坦な病変や、5mm以下の小さなポリープは検出しにくいという点である。こういった病変に対しては、大腸内視鏡検査によって、実際の映像を通じて確認する方が適している。
このように、身体に負担をかけずに全体を調べるには、CT検査の方が優れた点が多いといえるが、内視鏡の場合は、病変を見つけたらそのままポリープを取り除くことも可能であるため大腸がん予防も可能であり、ケースに応じて使い分ける必要がある。
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