2016.3.17
30代後半男性の健康リスク

30代後半男性が受けておきたい検査

命に関わる病気のリスクがぐっと高まる年代

Office Environment in a diverse office厚生労働省の人口動態調査によると、平成28年の35~39歳の男性の死亡の原因は、1位が自殺(死亡率:18.2%)、2位が悪性新生物(がん)(16.7%)、3位が心臓疾患(6.2%)の順になっている。死亡率を30代前半と比較するとそれぞれ1.02倍、1.84倍、1.27倍となっており、いわゆる3大疾病による死亡者数が30代の前半から後半にかけて増加していることがわかる。30代後半は危険な病気のリスクが高まる年代と認識してほしい。

死因1位のがん。30代後半に多くみられる種類とは?

日本人間ドック学会が平成27年に実施した全国集計によれば、40歳未満の男性に多く発見されたがんの種類は胃がん(1.2%)、大腸がん(1.5%)、肺がん(1.1%)となっている。若年性のがんは進行が速いことが多いので早期発見が大切だ。そのためにも少なくとも年に一度の定期的な検査が望ましい。造影剤を用いたX線撮影(胃・腸)、便潜血(大腸)、胸部X線撮影(肺)で何らかの異常があれば、内視鏡やCTによる精密検査でより詳しく調べていく。

心臓と脳の疾患、原因は動脈硬化

狭心症や心筋梗塞といった心臓疾患、脳出血やくも膜下出血などの脳血管疾患のおもな原因は動脈硬化による血流不全や血管(動脈瘤、静脈瘤)の破損だ。そしてその動脈硬化を助長するのは生活習慣病である。

日本人間ドック学会の平成27年に実施した全国集計によると、40歳未満の男性における生活習慣病関連項目で異常が認められた割合は、肥満29.7%、耐糖性異常(糖尿病予備軍)10.2%、高血圧8.4%、高コレステロール25.6%、高中性脂肪12.8%、肝機能異常34.1%いずれの項目も中高年の男性と比較しても決して低い水準ではない。

生活習慣病の多くは自覚症状をともなわないので、検査を受けなければ進行具合は判明しないが、身体測定(BMI)と血液検査の簡単な検査で診断できる。血中のコレステロールと中性脂肪は動脈硬化の進行を判断する尺度となる。肥満や高血圧は心臓に負担をかけ血管にダメージを与える要因となるので、これらに異常が認められた場合には心電図、胸部エコーなどの心機能検査、CTやMRIによる血管検査などを受けておいたほうがよい。

特別な自覚症状が無くても30代後半の男性には危険な病気やその原因となる症状が進行している可能性がある。この年代は一般的な健康診断だけでなく、人間ドックを利用して全身の精密なチェックを行ってみて、自分の身体の現状把握とリスクの把握をしてはいかがであろうか。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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