2017.4.6
大腸がん

大腸がんを発見する、大腸内視鏡検査のメリット・デメリット【初めての大腸がん検査】

大腸内視鏡検査のメリット


大腸がんは40代から徐々に罹患者数が増え、60代にもっとも多いがんで、国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターの情報によれば、2014年の大腸がんの死亡数は、全がんのなかで男性は3位、女性は1位だ。初めての大腸がん検査シリーズ第2回は、大腸がんを調べる、大腸内視鏡のメリットとデメリットを詳しく解説する。

大腸内視鏡検査は、大腸内の腫瘤や潰瘍をリアルタイムに、目で見て確認できる唯一の手段にして、最も有用な検査である。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の最深部である盲腸から直腸に至るまでを精密に調べていくことができる。途中、腫瘤などの病変が見つかり、悪性が疑われれば、その場で組織を採取することもある。また、一般的に5mm以上の腺腫と診断された場合は即座に切除術を行うこともある。

つまり、大腸内視鏡検査は、検査と同時に治療を行うことが可能なのだ。これはほかの大腸がん検査にはないメリットといえる。大腸がんを調べる検査には、ほかにも注腸造影検査やCTがあるが、それらとは異なり、検査に伴う被曝がないというメリットも挙げられる。

大腸内視鏡検査のデメリット

大腸内視鏡検査のデメリットとしては、未熟な挿入手技に伴う痛みや違和感といった、肉体的負担が挙げられる。最近では、内視鏡の細径化が進み、器具挿入時の負担は軽減されつつあるが、やはり肛門から内視鏡を入れる際に、痛みや違和感を伴う場合がある。また、内視鏡が大腸内を移動する際に、粘膜や腸壁が少なからず圧迫されるというリスクが伴う。CTのように、寝ているだけといった検査に比べると、この点はデメリットといえるかもしれないが、最近は挿入技術と鎮静薬の進歩により、内視鏡挿入に伴う苦痛は熟練した医師にかかればほぼ完全に解決されつつあり、CT同様に寝ているだけで検査も手術も終了してしまう。

大腸内視鏡では、努力しても観察することのできない部位が生じることがある。それは大腸内壁に存在するヒダ状の構造物が原因で、ヒダの影になっている部分は映像上死角となることがあるため、病変を見逃す可能性もあり得る。一方で、CTはさまざまな角度から大腸を描画できるため、死角は少なくなるが、病変が認められた場合、それがポリープなのか、残便なのか判別困難となるデメリットが起こりうる。いずれにせよ、再度大腸内視鏡を行い、直接目で見て確認する診断的治療が必要となる。

どんな検査にも一長一短がある

このように大腸内視鏡検査には、診療上の大きなメリットと未熟な医師にかかると大きな苦痛を伴いかねないというデメリットが存在している。そうした特性を踏まえたうえで、基本的には熟練した医師の判断を仰ぎながら、検査をチョイス、または組み合わせて受けていくことをおすすめする。

矢後 尋志(やご ひろし)
この記事の監修ドクター
東京ベイサイドクリニック 院長
医学博士【研究テーマ:大腸癌発癌】/日本外科学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医/日本消化器病学会専門医/日本肝臓学会専門医/日本泌尿器科学会専門医/日本消化管学会胃腸科認定医/日本人間ドック学会認定医/内視鏡的胃内バルーン留置術認定医/内痔核四段階注射法認定医/日本医師会認定産業医

Colorda編集部