2016.12.8
小児がん

小児がんの検査方法と治療法

15歳以下の死亡原因の上位を占める小児がん

Children who have been relying on stethoscope
小児がんとは、小児(15歳以下)が罹るがんの総称で、さまざまな種類が含まれる。小児がん全体の30%以上を占めるのが白血病で、脳腫瘍、神経芽細胞腫と続く(※1)。年齢別の死亡原因では、1~4歳の第3位が小児がんであり、10~14歳では1位となっている(※2)。がんの検査方法と治療法シリーズ第21回は、そんな小児がんの検査方法や治療法について紹介する。

小児がんの検査方法

小児がんには多種多様な悪性腫瘍が含まれるため、検査方法もさまざまだ。共通しているのは、問診、触診、視診から始まり、必要に応じて超音波検査やCT、MRIなどの画像検査を行うという点である。それから小児の場合は成人とは異なり、検査中に身動きしてしまう恐れがあるため、全身麻酔や鎮痛薬を活用する機会が多いという特徴がある。

ここでは、一例として、小児がんのなかで最も罹患率の高い白血病の検査法について概説する。

白血病では、上記のような検査に加えて、血液検査と骨髄検査も行われることがある。ふたつの検査の違いは以下の通りだ。

費用 時間 病気分類
血液検査 安い 短い 不可
骨髄検査 高い 長い

血液検査は血液を採取するだけなので簡単で、検査時間も短く、費用も安い。ただ、骨髄検査のように病型分類ができないという欠点がある。より精密に調べる必要がある場合は、骨髄検査を受ける。骨髄検査には骨髄穿刺(こつずいせんし)と骨髄生検の2種類がある。骨髄穿刺は、骨髄に針を刺し骨髄液を採取し、異常細胞の有無や造血能力を調べるもの。骨髄生検は骨髄組織の一部を採取して検査を行う。いずれも身体的な負担はある。

小児がんの治療法

小児がんの治療は成人のがんと同様、手術療法、化学療法、放射線療法を組み合わせて進められる。とくに薬物の効果が成人よりも高いため、化学療法を主軸に治療が行われることが多い。白血病に関しては、病態にもよるが抗がん剤のみで治療を完結させることも可能だ。小児の悪性腫瘍は分裂能が高く、放射線療法も成人より効果が高いといえるが、患っているがんの種類や病期によっても、治療法は大きく異なるため、医師による治療方針に従いつつ、セカンドオピニオンなども活用することが望ましい。

※1 厚生労働省会議室 日本小児がん学会による報告
※2 厚生労働省 人口動態統計 性・年齢別にみた死因順位 2012年

安里 満信(あさと みつのぶ)
この記事の監修ドクター
あさと医院 院長
医学博士、日本救急医学会専門医

Colorda編集部