2015.5.7

なぜ増えているの? 若い女性の「子宮がん」と「乳がん」

20~30歳代に増えている「子宮頸がん」

乳がんと子宮がん近年、女性特有のがんである「子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)」や「乳がん」の若年化が進んでいる。このうち、特に若い女性がかかりやすいのが子宮頸がん。20~30歳代での発症は1980年から2005年までの25年間でおよそ3倍に増えている(※1)。

子宮頸がんの若年層の罹患が増加している理由として、初交年齢の低年齢化が挙げられる。子宮頸がんの原因は性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)のため、性交開始が早いほどHPVに感染する時期も早くなり、若年で発症しやすくなる。HPVは数年を経てがん化するため、定期的にチェックすることでがん化を防ぐことができるが、子宮頸がん検査受診率は20歳代で約20%、30歳代で約40%と低い(※2)。「自分は大丈夫」と思いがちだが、性行経験のある女性なら誰もがHPVに感染する可能性はある。年齢にかかわらず、性行開始後は定期的にチェックを受けることをお勧めする。

ライフスタイルの変化で増えた「乳がん」「子宮体がん」

乳がん・子宮体がんは、これまでは40歳を過ぎたら検査を受けるよう推進されてきたが、30歳代で発症する人が増えてきている(※1)。乳がん・子宮体がんの若年化が進んでいる理由として、初潮の低年齢化や高齢出産の増加が挙げられる。女性の乳がん・子宮体がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンが関係している。エストロゲンの影響を長く受けるほど、がんにかかる可能性は高くなる。エストロゲンは月経期間に多く作られるため、早い初潮や高齢出産で若年時の月経回数が増えたことで、エストロゲンの影響を受ける期間が長くなるのだ。

初潮の低年齢化の背景には、食生活の欧米化による動物性脂肪の摂取増加が、高齢出産の増加の背景には女性の社会進出による晩婚化があるとされている。乳がん・子宮がんの若年化には女性のライフスタイルの変化が深く関わっていると言える。ひと昔前に比べて自分のライフスタイルを選択しやすくなった現代では、病気の予防意識をより高めていく必要がある。

子宮がんや乳がんの若年化が進んでいる今、人間ドックでの定期的なチェックを若いうちから開始することが、ライフスタイルに見合った健康管理術と言えそうだ。

※1 財団法人がん研究振興財団「がんの統計’10」
※2 厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査」

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部