2015.6.29

エアコンのカビが原因! 夏型過敏性肺炎にご用心

夏型過敏性肺炎の症状とは?

咳 夏型過敏性肺炎おもな症状は、咳と発熱と呼吸困難とだるさ。風邪と症状が似ているため、発症していることに気づかない人も多いが、アレルギー反応を起こして発症する肺炎の一種で、実に、わが国の過敏性肺炎の75%を占める。慢性化すると、呼吸不全や肺機能の低下など、重大な疾患につながる可能性もある。

原因はカビ。酵母カビの一種であるトリコスポロン・アサヒやトリコスポロン・ムコイデスというカビが原因のであり、これらの菌は高温多湿な環境で腐った木を栄養源として成長するため、湿気が多く日当たりや風通しの悪い古い家屋で発育する。特に、台所や洗面所や風呂場といった水まわりが危険。湿度の高い6月から10月に発症のピークを迎えるため、夏型過敏性肺炎と呼ばれている。一度発症すると、このカビを吸い込むたびに症状が繰り返されるため、数ヶ月間、不調が続くうえに、年を隔てて再発することもある。

治療方法は、家を離れるだけ!?

夏型過敏性肺炎は、原因のカビを吸い込まなければ、症状は現れないため、治療はおもに、自宅からの隔離だ。実際、入院や旅行などで家から離れるだけで、症状はかなり改善されるが、症状が重い場合は、ステロイド薬を服用することもある。

エアコン、風呂場のカビを除去して予防を

治療と予防の両側面から、環境を改善することが重要だ。原因であるトリコスポロンは、温度20℃以上、湿度60%以上の高温多湿の場所を好み、台所や風呂場はもちろん、古い木や畳、カーペットなどに多く発生する。抜本的な対策を行うならば、腐木の除去、畳の張り替えなどで、カビを完全に除去する必要がある。また、結露しやすいエアコン内部で増殖しやすいので、最低、週に1度は掃除することをおすすめする。

夏型過敏性肺炎は、放置すると、肺機能が低下し、カビが発生していない場所でも、慢性的に咳や息切れを起こすこともある病気。夏になると毎年、風邪をひく人というは、夏型過敏性肺炎の可能性が高いので、一度、検査をうけることをおすすめする。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部