2015.7.13

「いびきがうるさい!」と言われたら、睡眠時無呼吸症候群かも!?

こんな症状は、睡眠時無呼吸症候群の疑いあり

睡眠時無呼吸症候群睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、寝ているときに呼吸が止まる病気だ。医学的には10秒以上の無呼吸が7時間の睡眠中に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あると該当する。いびきをかく、息苦しくて何度も目が覚める、寝汗をかくなどが睡眠中のおもな症状。ほかにも、起床時に口が渇いている、熟睡感がなく頭が痛いといった感覚がある。さらに注意したいのが、無呼吸が招く酸欠と、寝不足が原因のだるさや集中力の欠如だ。気づかずに放置すれば、運転事故や、睡眠障害の影響で起こる高血圧や心不全などの合併症が誘発されることもある。

無呼吸になるのは「狭い気道」がおもな原因

睡眠時無呼吸症候群は、「閉塞性」「中枢性」「混合性」の3つに分けられる。鼻から喉頭にかけての空気の通り道である上気道が狭くなり、呼吸ができなくなるのが「閉塞性」で、脳から呼吸の指令がいかなくなるために引き起こされるのが「中枢性」である。患者の90%以上は「閉塞性」にあたり、発症しやすい身体の特徴が明らかになってきている。首が短く首回りに脂肪がついている、下顎が小さく後ろに引っ込んでいる、歯並びが悪い、舌の付け根が大きいなどが特徴として挙げられる。

また、上気道の狭くなっている隙間を、空気が通るときに、いびきが生じる。無呼吸にならないためには、気道に十分な空気の通り道を確保し、閉塞を避けることが重要だ。

治療や予防には、どんな方法がある?

治療は、「CPAP療法」「マウスピース」「外科治療」の3つが主流だ。

「CRAP療法」は、鼻にエアチューブやマスクをして、圧力を気道に送り続ける治療法で、常に一定量の空気が入っていくことで、気道の閉塞を防ぐことができる。「マウスピース」は下顎が上顎より少し前に出るように作った口腔内装置。はめると喉の奥が広がり、空気を取り込みやすくなる。「外科治療」では、扁桃腺肥大など、気道を狭くしている原因を切除する。

こうした治療が必要になる前に、できることなら予防を行っておきたい。首回りに脂肪がつかないよう、肥満を遠ざけるのは必須だ。またアルコールの摂取は、上気道を支える筋肉が緩んで空間が狭くなり、いびきをかきやすくさせるため控え目にすること。鼻のトラブルがある場合は、咽頭が狭くなる口呼吸になりがちなので、耳鼻咽喉科を受診しておこう。そして眠るときには、仰向けよりも、舌の付け根が気道に下がりにくい横向き寝の姿勢をとるのが効果的だ。

周囲から「いびきがうるさい」と指摘されたり、眠気やだるさをひどく感じたりしたら、早めに適切な治療を受けておきたい。思わぬ病気がひそんでいるかもしれないので、睡眠の質や睡眠時の状態を、今一度チェックしてみよう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部