2015.7.16

あなどれない骨粗鬆症、今から予防を始めよう!

知っているようで知らない、骨のはたらき

ThinkstockPhotos-57584465「骨粗鬆症」と言えば、骨がもろくなる病気という印象があるが、その症状や障害を詳しく知っている人は少ないだろう。骨粗鬆症を知る前に、まずは骨とは何か、どのような役割を果たしているのか、見ていくことにする。

わたしたちの身体には200〜206本の骨があり、大きく3つの役割を果たしている。1つ目は、身体を支えること。大腿骨は300kg、腰椎は700kgの重さに耐えることができると言われている。2つ目は、内臓の保護。肋骨は肺や心臓、頭蓋骨は脳を守っている。3つ目は、身体のカルシウム補給。体内のカルシウムが不足すると、骨から供給するのだ。骨は、わたしたちの身体の根幹といってもいいだろう。

骨粗鬆症の原因はこれだ!

骨は一見、活動をしていないように思えるが、実は新陳代謝をくり返し、身体が必要とするカルシウムを供給したり、新しい骨を作り続けたりしている。この新陳代謝が低下すると、カルシウムが抜け出てスカスカの骨になり、骨粗鬆症を引き起こしてしまうのだ。つまり、骨粗鬆症は、年齢による骨の老化ではなく、新陳代謝の低下により起こる。そのため、予防をすれば防ぐことができるし、逆に生活習慣の乱れなどにより、若いうちからかかってしまうこともある。

骨粗鬆症を起こしやすいかどうか、セルフチェックをしてみよう。

  • 検査で「骨の量が少ない」といわれた
  • 背が縮んだり、背中が丸くなってきた気がする
  • 骨折した経験がある
  • お酒をよく飲む 例:毎日、日本酒2合以上またはビール350ml缶3本以上
  • 病気の治療でステロイドを使っている
  • 家族に太ももの付け根(大腿骨頸部)を骨折した人がいる
  • 運動不足だ
  • やせすぎている
  • カルシウムの摂取量が少ない

2つ以上当てはまるものがあれば、一度、かかりつけの医師または、近くの保健センターに相談し、骨密度の検査をすることをおすすめする。

もしかしたら自分にも骨粗鬆症が迫っているかも

骨粗鬆症の予防は、普段からカルシウムを摂ることが大切だ。加えて、カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンD、骨を丈夫に保つ働きのあるビタミンKを一緒に摂ってほしい。ビタミンDはサケやサンマに、ビタミンKは納豆、ワカメ、緑色の野菜に多く含まれる。日光浴もビタミンDを作る働きがある。

また、生活習慣の見直しも必要だ。喫煙は、胃腸の働きを低下させ、カルシウムの吸収を阻害するため、タバコは控え目に。またお酒は、その利尿作用のせいで、必要なカルシウムまで排泄してしまううえに、腸からのカルシウムの吸収を妨げてしまうため、飲み過ぎには注意したい。

従来、50代以上の女性がかかりやすいといわれていた骨粗鬆症だが、今は、生活習慣の乱れや無理なダイエットから、20~40代の男女もかかる可能性が高まっている。若いうちから予防を始めることをおすすめする。まずは、手軽にサプリメントで栄養補給したり、エレベーターを使わずに階段を使うなどの適度な運動を心がけたり、日光浴を行ったり、日常生活の中で始められる予防を心がけたい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部