2015.6.25

何をどう調べる? 大人が知っておくべき消化器の検査内容

胃がんのスクリーニング検査として秀逸なペプシノゲン検査

胃カメラ
人間ドックでよく耳にする消化管の検査は、ペプシノゲン検査、ヘリコバクター・ピロリ検査、上部消化管X線造影検査、内視鏡検査などだろう。なかでも、もっとも簡単なのがペプシノゲン検査だ。人間ドックで必ず行われる採血検査のひとつで、血液データから胃の状態を予測する検査である。この検査でわかるのは、胃の粘膜の状態のみではあるが、粘膜の萎縮の進行が、胃がんの原因になる可能性が高いため、胃がんのスクリーニング検査として有用だ。しかし、陰性であっても、胃がんやほかの疾患に罹患している可能性があるということは、知っておこう。

難病の原因菌を発見するヘリコバクター・ピロリ検査

胃がん罹患と深い関係があるとされているヘリコバクター・ピロリ菌は、ほかにも、原因不明で血小板が減少する難病である特発性血小板減少性紫斑病の原因菌として認知されている。しかし、この細菌は除菌することが可能だ。検査で発見し治療を行えば、病気を予防することができるため、人間ドック時には必ず受けておきたい。検査材料は、呼気、血液、尿、便と多岐にわたる。内視鏡による直接目視による検査を行う場合もあるが、まずは、血液検査など身体への負荷が少ない方法で感染の可能性を確かめるべきだろう。

定番のX線造影検査と、異常を目で探す内視鏡検査

人間ドックでは、X線造影検査か内視鏡検査のどちらかを選択することが多い。

X線造影検査の特徴

X線造影検査とは、バリウム検査とも呼ばれ、X線を透過しないバリウムを飲み、その流れ方をX線で照射して撮影し、食道から胃、十二指腸までの上部消化管の病変を診断する。画像を分析することで得られる情報は多く、継時的な病変の変化を知ることも可能である。ただ、バリウムを内服するのが苦手な人も多い。また、検査後にバリウムがうまく体内から排泄されない場合、腸閉塞になる可能性もあるので、便秘気味の人は特に気をつけなければならない。

内視鏡検査の特徴

内視鏡検査は、消化管を直接観察できる唯一の検査である。検査の途中で気になる部分があれば細胞を切り取り、さらに詳しい病理検査を行うこともできる。カメラの挿入は、鼻からと口からのどちらかを選ぶことができ、一般的には、鼻から入れるほうがラクだとされる。しかし、人によっては鼻道が狭く、痛みをともなったり、カメラが通らず検査ができなかったりする可能性もある。またこの検査は、身体に負荷がかかるものであり、医師の経験や技術力が、検査や結果に影響を与えてしまう可能性があることも覚えておきたい。

このように、どの検査にもメリット、デメリットがあるが、その特徴をよく理解した上で、受けたいものである。疑問点や不安な点を医師に的確に相談するためにも、検査内容の基礎的な要件は頭に入れておくことを推奨する。

小坂 英和(こさか ひでかず)
この記事の監修ドクター
こさか内科・内視鏡内科 院長
医学博士(神戸大学)/日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化管学会 胃腸科専門医/日本リウマチ学会 リウマチ専門医/日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医・指導医

Colorda編集部