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2016.8.4

痛風になりたくなければ、ビールをやめてワインを飲むべし

外食しがちな男性がかかる疾患「痛風」

Red wine glass and glass of light beer
痛風は、高尿酸血症が原因の関節炎をきたす疾患で、皮膚に風が当たっただけでも関節が痛むことから「痛風」と命名されたとされる。高尿酸血症とは、尿酸という物質が身体に溜まり結晶化することだ。健康な状態でも血中には一定量の尿酸が含有されているが、この尿酸の濃度が著しく上昇すると、とくに体温が低い足部などで尿酸が溶解しきれずに関節内で結晶化して、激しい痛みを伴った発作を誘発する。

血中の尿酸値が高いからといって、必ずしも痛風発作を起こすわけでもないが、痛風患者の90%以上が男性で、それも外食がちな成人男性に好発するのが特徴である。

ビールは悪、ワインは正義

これまでの疫学的研究で、アルコールは痛風発作を誘発することが知られていた。しかし、最近の調査によると、ビールは痛風発作のリスクを高めるが、ワインは飲んでも痛風発作のリスクを高めないことがわかった。

マサチューセッツ総合病院リウマチ科のヒョン・コワ博士は、健常成人男性47,150人を12年間追跡し、アルコールの摂取量と痛風発作との関連性を調査した。追跡した12年間に730回の痛風発作が観察されたが、アルコールを10~15g摂取する男性の痛風発作危険度はアルコールをまったく摂取しない男性に比べて、痛風発作の危険度が1.32倍、15~30g摂取する男性は1.49倍、30~50g摂取する男性は1.96倍、50g以上摂取する男性は2.53倍に上昇していた。

なかでもビールは発症危険度を最も上昇させるアルコール飲料で、1日の量に換算するとビール12オンス(約360ml)あたり痛風発作の危険度を1.49倍に上昇させていることがわかった。しかしワインを摂取する男性の痛風発作危険度は上昇していなかったことから、ビールには痛風の引き金になる物質が含まれているが、ワインには含まれていない可能性、あるいは逆に発作を抑える作用のある物質が含まれている可能性が示唆されている。

日頃からお酒を飲む機会が多い人は、飲むお酒の種類に配慮してほしい。それだけでも、痛風予防や体調管理に効果はあるのだ。


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Colorda編集部