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この検査は何のための検査?

eGFR

eGFRとは?

血液検査における「eGFR(推算糸球体濾過量)」とは、計算式によって求める推定のGFR(糸球体濾過量)のことです。「eGFR」のeは「estimated=推定」の略です。近年広く活用されている指標で、血清クレアチニン値、性別、年齢から算出します。また、GFRとは腎臓内の糸球体(しきゅうたい)が1分間に濾過する血液量のことで、糸球体とは腎臓内で血中の老廃物や塩分を濾過する役割を果たす毛細血管の集まりのことです。

なお、正確なGFRを測定するためには、クリアランス検査と呼ばれる検査が必要になりますが、時間や身体的負荷がかかります。そのため、多くのクリアランス検査の結果データをもとに考案された指標がeGFRです。

eGFRを調べる目的

eGFRの数値は、腎臓の濾過機能を評価するために用いられます。eGFRの数値が低い場合は、腎臓の機能が衰えていることを意味します。血液検査でeGFRを調べることは、腎臓の状態を把握し、腎臓疾患の可能性を見つけることにつながります。

eGFRの血液検査で見つけられる病気

血液検査でeGFRの数値を調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。

 ●慢性腎臓病(CKD)
 ●糖尿病性腎症
 ●慢性糸球体腎炎 など

eGFRの結果数値の見方

eGFRの算出方法は、性別によって異なります。計算式は下記のとおりで(日本腎臓学会より)、女性の計算式は、男性の計算式に0.739をかけたものです。

1.男性の場合

eGFR(mL/分/1.73㎡)=194×(血中クレアチニン値−1.094)×年齢−0.287

2.女性の場合

eGFR(mL/分/1.73㎡)=194×(血中クレアチニン値−1.094)×年齢−0.287×0.739

eGFRの数値の見方は下記のとおりです(日本人間ドック学会より)。
基準値(基準範囲)を下回ると、腎臓機能の低下が疑われます。

eGFR検査数値

また、eGFRが60ml/分/1.73㎡未満の状態が3ヶ月以上続くと、慢性腎臓病と診断されます。心血管疾患を発症する危険性も高まります。

eGFRの血液検査の長所/短所

血清クレアチニン(Cr)の血液検査のみで、精度の高いGFR値を推算できる点が最大の特徴です。従来、腎機能は血清クレアチニン(Cr)の数値によって評価されていましたが、血清クレアチニンは、年齢や性別によって正常値・異常値にずれが生じ、腎機能がかなり低下するまで、正常値が示されることがあるという弱点を抱えています。また、正確な糸球体濾過量(GFR)を測定するにあたっては、イヌリンクリアランスやクレアチニンクリアランスといった測定法がありますが、いずれも煩雑で、時間や身体的負荷がかかります。

しかしeGFRの計算式を用いれば、これら一連の方法よりも、迅速かつ精度の高いGFRを確かめられるため、腎臓機能の低下・回復の状態を正確に把握できます。慢性腎臓病を筆頭に、腎臓疾患は自覚症状が少ないという特徴があります。eGFRはその腎臓疾患の早期発見につながります。

なお、上記のeGFR計算式は18歳以上のみに適用されます。成長発達による影響などから、小児は18歳以上とは異なる計算式が用いられます。

eGFRの血液検査の流れ

eGFRの数値を調べる血液検査では、採血を行います。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。

1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く
(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。

<参考>
一般社団法人日本腎臓学会「eGFR男女・年齢別早見表」

公益社団法人日本人間ドック学会「検査表の見方」

この記事の監修ドクター

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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