2015.10.8

排便が週1回程度…便秘に潜む病気と、定期的に受けるべき検査に迫る

排便が週1回の人は便の性状に注意が必要

便秘
便秘に悩まされている人は多い。排便が週1回しかない人も珍しくはない。また、排便回数の減少が6ヶ月以上続いている慢性便秘は、日本の人口の20%にも及ぶともいわれている。そんな便秘の背景には、ハイリスクな病気が潜んでいる可能性がある。

ただし、便秘の定義は曖昧だ。各学会が異なる定義を提唱しているため、医学的に便秘であると断定することは難しいが、日本内科学会を例にあげれば、3日以上排便がない状態を便秘と定義しており、これは一般常識と重なる。排便が週1回程度であれば、間違いなく便秘といえるだろう。

そこで重要なのが、残便感や腹部の膨満感などが顕著であるかどうかだ。また、便の性状にも注意を払う必要がある。便が黒色でドロドロとした粘性を帯びたタール便や、血液が混ざっている場合などは病気のリスクが極めて高い。

ハイリスクなのは消化管に異常がある器質的便秘

便秘は大きく2種類に分けることができる。機能的便秘と器質的便秘だ。機能的便秘は、生活習慣に起因しており、運動習慣や食生活になんらかの問題があると考えられる。そのため、生活のなかに適度な運動を取り入れたり、食物繊維の豊富な野菜を摂取したりするなどの対処法で改善が見込まれる。

いっぽう、器質的便秘は、消化管の病気などで引き起こされる便秘で、すぐにでも治療を要する場合が多い。症状は激しい腹痛や発熱、吐き気やおう吐を伴うこともある。全般的に、機能的便秘より症状が強く現れてくる。疑われる病気には、大腸がんや直腸がん、それから腸閉塞などがある。腸閉塞は腸がねじれてしまう病気で、その結果、便が通過しにくくなり便秘を引き起こす。激しい腹痛など、自覚症状が現れやすい傾向がある。

つまり、ハイリスクなのは器質的便秘で、便秘の原因を究明するためには、病院で検査を受けることがもっとも確実である。

がんが潜んでいる可能性も! おすすめの検査法

器質的便秘の原因となる病気を発見するには、内視鏡検査や便潜血検査などが有効だ。肛門と直腸に病変があると疑われる場合は、指診が行われることもある。また、腸閉塞に関しては画像検査が有効で、X線画像により、閉塞部位や重症度などを診断することも可能である。

このように、排便が週1回の人は、その背景に大きな病気が隠れていることもありえる。また、それほど極端な症状がなくとも、便秘の傾向が現れている人は、大腸がんや直腸がんのリスクが高いので、予防・早期発見の意味で、大腸カメラを受けておいたほうがいい。ちなみに、大腸がんの罹患率は、40代から増加し60代以降でもっとも多くなるため、一度、40代で検査しておくのがよいだろう。仮に異常が検出されなくても、遺伝的に、生活習慣的に不安がある場合は、医師と相談しながら、3~5年に1度のスパンで、検査を受けてみてはどうだろうか。

小坂 英和(こさか ひでかず)
この記事の監修ドクター
こさか内科・内視鏡内科 院長
医学博士(神戸大学)/日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化管学会 胃腸科専門医/日本リウマチ学会 リウマチ専門医/日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医・指導医

Colorda編集部