2015.10.5

人間ドックで発見された生活習慣病の実態

日本人間ドック学会が実施した全国集計結果

生活習慣病
食生活の偏りや嗜好品、運動不足など日常の何気ない習慣が原因となって起こるのが生活習慣病である。かつては加齢が原因で疾患が重症化する、複合的な疾患となると考えられ、成人病と呼ばれていた時代もある。自覚症状が無いままに進行していることが多く、おもに、メタボリックシンドロームや、高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症などがあり、放っておけば心臓病、脳梗塞、がんなどの原因となる恐ろしい疾患である。

医学的に「健康な人」は、たったの6.6%

生活習慣病の危険因子とされる主要6項目を、2014年に人間ドックで異常が認められた受診者の比率が高い順に並べると、肝機能異常(33.7%)、高コレステロール(33.6%)、肥満(29.9%)、耐糖能異常(24.4%)、高血圧(23.9%)、高中性脂肪(14.4%)となっており、いずれも年々増加する傾向を示している。

検査の全項目で異常の認められない受診者(健常者)の割合は、1984年の29.8%に対して2014年では6.6%にまで大幅に減少している。原因としては検査項目の複雑化や受診者の高齢化という面もあるが、おもに食生活の欧米化(高脂肪食化)や社会のストレスによる生活習慣の悪化、運動量の低下などが考えられている。

年齢や性別で比較すると、耐糖能異常(いわゆる糖尿病予備軍)と高血圧の2項目に関しては男女ともに年齢の増加とともに異常頻度(正常で無いと診断された人数の全体に占める割合)が増加し続け、40歳未満と比べて60歳以上では4~5倍となっている。肥満、高コレステロール、高中性脂肪、肝機能異常の4項目では男性は50歳代をピークにその後はわずかに減少する傾向にあるが、全年齢層にわたって決して低い頻度ではない。女性では6項目すべての異常頻度が年齢にともなって増加している。全体に男性にみられる異常頻度が女性のそれを上回っているが、高コレステロールに関しては女性に年齢依存が顕著にみられ、50歳代以降で女性が男性を上回る結果となっている。

人間ドック受診者の9割以上に異常が認められる実態を見れば、現代人の生活習慣病リスクが極めて高いのは明白である。健康を維持するためには、まず、日頃の生活習慣の見直し、次に自覚症状が無くても定期的に検査を受けて適切な生活習慣の改善、早期治療を行うことが重要である。

小坂 英和(こさか ひでかず)
この記事の監修ドクター
こさか内科・内視鏡内科 院長
医学博士(神戸大学)/日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化管学会 胃腸科専門医/日本リウマチ学会 リウマチ専門医/日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医・指導医

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