2015.10.19

日常的にくらっとする… めまいのする人が優先的に受けたい検査とは?

そもそもめまいはなぜ起こる?

めまい
運動や姿勢のバランスを保つ平衡感覚に何らかの乱れが生じたときに起こるのがめまいである。目が回る、ふらつく、頭がくらっとするなど症状はさまざまであるが、厚生労働省の国民生活基礎調査によると、めまいに悩む人の数は240万人を上回る。疲労や体調不良による一過性の症状と考えがちであるが、思いがけない疾患が原因となっているケースも少なくないので注意が必要だ。

平衡感覚は、三半規管が捉えた運動や加速度、重力などの情報が前庭神経を通って脳幹へ伝えられ、さらに視床や大脳皮質にフィードバックされることによって維持されている。これらの器官のどこかで情報伝達に異常が生じた際に知覚されるのがめまいである。そのため、めまいの原因となるのは耳または脳の疾患である場合が多い。

症状と原因疾患

目が回るように感じる回転性めまいの多くは、耳の疾患が原因で起こる。もっとも多いのは耳石という平衡感覚を司る組織の異常から起こる良性発作性頭位めまい症(BPPV)で、めまい症患者の20~40%を占める。中耳炎や突発性難聴でも同じような回転性めまいが起こる。回転性が激しく悪心や嘔吐をともなう場合には、半規管につながる神経の炎症によって引き起こる前庭神経炎や、内耳が内リンパ水腫を起こすメニエール病の疑いもある。

また、ふわふわした感覚やふらつくように感じる浮動性めまいは、脳の疾患が原因となっている場合が多く、頭痛や顔面、手足のしびれを伴うのが特徴である。脳梗塞、脳出血、腫瘍などが原因となっている場合もある。

ほかにも、急に頭がくらっとするめまいは血圧の急激な変化によって脳の血流が不安定になって起こる。低血圧、高血圧、貧血、高血糖などの全身性の疾患や不整脈が原因となっていることもある。

耳鼻科? 内科? 検査はどこで受けるべき?

まずは耳鼻科での検査が一般的だ。耳の異常を診断するために、視診や触診、聴力検査、三半規管の機能を調べる眼振検査などが行われる。さらに浮遊性のめまいを感じている場合は、脳の状態を診断するために、CT、MRI等の断層撮影が必要となる。また、血圧の変動が原因と考えられる場合には、血液検査や心電図などの内科検査でその要因となっている疾患を明確にする。

めまいの原因は多岐にわたり、また複数の疾患が関与していることも考えられるので、耳鼻科に加えて、全身の機能を調べる人間ドックを受診して総合的に判断するのが治療への道を拓く早道である。

坂口 海雲(さかぐち みくも)
この記事の監修ドクター
福島吉野スマイル内科・循環器内科 院長
日本内科学会認定内科医/日本医師会認定産業医/日本循環器内科学会所属医

Colorda編集部