2016.1.14
30代前半男性の健康リスク

30代前半男性が受けるべき検査

生活習慣病発症のリスクが高まるのは30代前半

SThinkstockPhotos-462604469男性が30代を迎えたころから「疲れやすくなった」「無理がきかなくなってきた」といった話をよく耳にする。実際に身体機能のピークは20代であり、30代は下り坂に差し掛かっているのである。仕事も私生活も多忙になる時期であるが、健康管理を疎かにすれば病気のリスクを負いかねないので注意が必要だ。

メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肝機能障害など、若年層の生活習慣病が年々増加しており、その傾向はとくに男性に顕著である。20代ですでに生活習慣病予備軍と診断され、30代で病気と診断されるケースも少なくない。糖や脂肪を多く含む食品の摂取、飲酒・喫煙などの嗜好品、運動不足、不規則な生活などが原因となるので、心当たりがあれば生活習慣を改めるか、早めに検査を受けた方がよい。自覚症状がないため検査を受けなければ判明しないことが多い。検査は簡単で、身体測定と血液検査の数値で概要は把握できる。

30代でも血管の老化は進行している

血管の健康は見逃しがちだが、血管も老化していく。たとえば、血管の内壁にコレステロールなどの脂質が堆積して起こる血管壁の硬化が血管の老化である。中高年に特有の症状ではなく10代からその進行は始まっている。食事や生活習慣、体質によっては30代で動脈硬化症と診断されることもあり、自覚症状がなく、進行すれば脳梗塞や心臓疾患の原因となる。特に高血圧、肥満、糖尿病などの傾向があったり、喫煙する場合には動脈硬化の検査を受けておくべきである。動脈硬化のおもな原因は糖尿病と高脂血症なので、血液検査で血糖と血清中の脂質(リポ蛋白)の濃度を調べるのがお奨めだ。

30代から発症しやすい男性のがん

30代前半でも比較的多く見られるのは胃、大腸などの消化器系のがんと肺がんである。中高年に比べれば発症率はかなり低いが、若年性のがんは進行と転移が極めて速いので早期発見が重要である。検査項目としては、便潜血(大腸がん)、内視鏡あるいは造影剤を用いたX線撮影(胃・腸)、胸部X線撮影(肺がん)でスクリーニングを行い、異常があればさらに精密検査を行う。

30代前半は身体のメンテナンスに真剣に取り組み始めなければならない重要な時期である。将来の健康維持のために、人間ドックなどを利用して定期的な全身のチェックを始めてみてはいかがであろうか。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部