2017.9.28
肺がんを調べるオプション

人間ドックのオプション、肺がんを調べる検査「胸部CT撮影」、「喀痰細胞診(3日分)」

肺がんは発症部位で検査方法が異なる

人間ドックを受診する際は、受診者それぞれが気になる部位や病気リスクをより詳細に調べることができるオプション検査をぜひ活用してほしい。血液検査や、MRI、CT、マンモグラフィーやエコー、内視鏡などの画像診断など、医療施設によってさまざまな種類がある。今回は、肺がんが疑われる時にまず行われる、「胸部CT撮影」と「喀痰(かくたん)細胞診(3日分)」を紹介する。

肺がんとは、肺に発生する悪性腫瘍で、部位に応じて症状や検査法が異なる。肺野(末梢)と呼ばれる、左右にある大きな袋状の部分に生じた肺がんは、早期は無症状のことが多く、検査は胸部X線やCTが有効である。一方、肺門部(中枢)と呼ばれる肺の中心部分に生じた肺がんは、呼吸器症状が出やすく、痰の成分を調べたり、気管支を内視鏡で調べたりする検査が有効である。今回は、人間ドックのオプションでも選ぶことができる、胸部CT撮影と喀痰細胞診(3日分)について詳しく解説する。

・肺がんの検査が可能な全国の医療施設をお探しの方はこちら>

腫瘍の有無だけでなく大きさや深さまでわかる「胸部CT撮影」

胸部CT検査は、肺がんの診断には欠かすことのできない検査である。X線による放射線被曝は多少あるものの、肺にがんが存在すれば、はっきりとした陰影が生じるため、有益性は高い。また、がんの有無だけでなく、腫瘍の大きさや発症部位、深さなどもある程度判定することができる。これは胸部CT撮影によって得られたデータを元に、3次元的な画像を構築することが可能であるからだ。他臓器への転移を調べるうえでも、胸部CT撮影は有用だ。

・胸部CT検査が可能なお近くの医療施設をお探しの方はこちら>

鑑別診断には欠かせない「喀痰細胞診」

肺がんが疑われたら、胸部X線検査やCT検査の他に、細胞診や組織診によって病変の有無を調べる。その際に行われるのが喀痰細胞診だ。喀痰細胞診とは、痰のなかにがん細胞が含まれているかを調べる検査だ。具体的には3日間、痰を採取して医療施設へ提出すると、病理医が、がん細胞の有無などを分析する。たとえば、「パパニコロウ染色法」という方法では、喀痰細胞診で採取された痰の成分をA~Eの5段階で評価することができる。AとBは陰性で、Cは偽陽性、DとEは陽性と評価する。ただし、喀痰細胞診だけで診断がつくわけではない。その後、確定診断のためには病理検査が必要となり、気管支鏡検査や経皮針生検、胸腔鏡検査などによって、肺がんが疑われる部位から細胞や組織を採取することになる。

肺がんは症状が現れてから治療をしても予後が悪いことが多い

肺がんでは、呼吸困難や血痰、胸痛、体重減少などの症状が現れてくるが、その時点から治療を開始しても予後が悪いことが多い。そのため、スクリーニング検査による早期発見が重要な疾患といえる。喫煙者をはじめ、気になる人は定期的に、人間ドックのオプションなどを利用して、肺がん検診を受けることをおすすめしたい。

・全国の肺がん検査が受診できるプランをお探しならこちら>

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部