2015.9.24

歳のせいと思っていたダルさ、イライラ、じつは甲状腺ホルモンの病気かも!?

甲状腺ホルモンの病気は気づきにくい

甲状腺
甲状腺は、喉ぼとけの下にある蝶のような形をした内分泌器官。甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」は、ヨウ素を主原料にして代謝や交感神経の調整をする役目を担っており、分泌が過剰でも不足しても身体に支障をきたす。症状は「疲れが取れない」「精神的に不安定」をはじめ、いわゆる不調と感じられるものが多い。加齢や更年期障害と間違えることがよくあるので、見逃さない注意が必要だ。放置したままだと心臓病や脳卒中などになり、命にかかわることもある。首に、普段ない腫れや硬さが感じられる場合は診察を受けたほうがよい。

甲状腺ホルモンが過剰な「バセドウ病」、不足している「橋本病」

「バセドウ病」は、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気で、20~40代の女性に多い。症状は、動悸、疲れやすい、多汗、イライラ、食欲があるのに体重が減少、眼球の突出、コレステロール値の低下など。新陳代謝が亢進状態になり、動悸がひどくなって高血圧や心不全になったり、カルシウムが骨から溶けだして骨粗鬆症になったりする恐れもある。

「橋本病」は甲状腺ホルモンの分泌が不足し、代謝や神経、臓器の機能が低下する。女性の40歳以降に多く、むくみ、かすれ声、皮膚の乾燥、冷え症、便秘、うつ、食欲不振でも体重が増加、コレステロール値の上昇、動脈硬化などの症状がみられる。ほかにかかりやすい傾向としては、免疫力の働きを悪くさせるストレス過多な生活や、出産で感染防御のために免疫細胞が活性化しすぎて、自己免疫細胞を攻撃してしまうケースなどがある。また、花粉症も甲状腺に作用する細胞が活発になるので、併発しやすい。

チェックと治療にはどんな方法がある?

「バセドウ病」も「橋本病」も、免疫細胞が甲状腺を刺激してしまう「自己免疫疾患」だが、病因はまだわかっていない。原因不明の不調が続いているときは、診察を早めに受けることが大切だ。甲状腺ホルモンの病気かどうかは、血液検査を受ければわかり、治療方法は薬の服用と手術がある。「バセドウ病」は、甲状腺ホルモンの作りすぎを抑える薬を飲めば、2年ほどの治療で約3割の人が薬を飲まなくてよい状態に回復するというデータがある。手術の場合は、大きくなった甲状腺の一部を残して切除するが、術後に甲状腺機能が低下するリスクがある。「橋本病」は6ヶ月程度、ホルモン剤を服用すれば、罹患前に戻ることができる。日常生活では、ヨードを含む食品を摂り過ぎると、脳からの指令でホルモンの生成が制御され、不足状態になるので注意すること。

甲状腺に疾患のある人は、541万人(※)にものぼる。しかし自覚症状が薄く、さらに違う病気と間違えている人が多い。不調の裏に甲状腺ホルモンの疾患が隠れていないか確かめておこう。

※1 厚生労働省 平成23年患者調査による 


Colorda編集部