40代以上の男女が気をつけたい、大腸がん
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターの情報によれば、2014年の大腸がんの死亡数は、全がんのなかで男性は3位、女性は1位。40代からリスクが高まり60代でそのピークを迎える、男女ともに注意しておきたいがんと言える。初めての大腸がん検査シリーズ4回は、大腸がんのステージ分類や治療法などを紹介する。
大腸がんのステージ分類
大腸がんのステージは0期からⅣ期に分類され、それぞれの病期に応じた治療法がガイドラインで提唱されている。ステージ0~Ⅰ期の早期発見であれば、腫瘍部分の内視鏡的切除術のみで対応することがある。同じⅠ期でもがんの浸潤度、つまりほかの細胞や臓器への広がりが高い場合や、Ⅱ~Ⅲ期に及んでいる場合はがん細胞が浸潤しているため、手術だけでなく、化学療法や放射線療法などを組み合わせて、がん細胞を小さくしたり、死滅させたり、また進行スピードを遅らせたりしながら対応していく。Ⅳ期に至っているケースでは全身への転移が見られるため、多くの場合、根治手術を適用するのは困難であり、化学療法や放射線療法などを中心に治療を進めていく。また、閉塞解除目的の人工肛門造設術などは症例ごとに検討される。
大腸がんの進行度合い別の手術
大腸がんの早期の大腸がんに適用される「内視鏡的切除術」は、内視鏡を通して専用の器具で、腫瘍を切り取る治療法である。皮膚を切開する必要がなく、身体への負担が少ない。また、ある程度進行した大腸がんに適用される手術療法は、「腹腔鏡」下で行われることが多い。腹部に小さな穴を開けて内視鏡と鉗子やメスなど入れながら行う鏡視下手術で、通常の開腹手術と比べ、傷跡が小さく、治癒も早い。医療技術の進歩により、身体に負担の少ない手術方法が確立されてきている。しかし、リンパ節への転移が見られる、または疑われるような進行したがんの場合は、開腹手術を行う必要がある。
手術のほかには、術前にがんを小さくしたり、術後の再発抑制に有用な放射線療法や、薬剤によってがんの進行を抑えたり、苦痛を緩和したりするのに行われる化学療法などの治療法がある。
大腸がんの術後の生活
大腸がんの手術を行ったあとは、徐々に体力を回復していく必要がある。ウォーキングなどの軽い運動からはじめ、最終的には術前と同じように身体を動かせるようにしていく。腹部を手術した場合は、一定期間は、腹筋を過度に使用する運動は避けたほうが賢明である。食事についても特段の制限はないが、刺激の強い香辛料などは摂取を控えるようにすべきだ。
大腸がんは日本人がかかりやすいがんであり、高齢になるほどそのリスクが高まる。治療法はステージに応じて確立されているとはいえ、できるだけ早期に発見することが望ましい。そのために、定期的な検診を受けておきたい。
