2017.8.31
内臓脂肪面積を測定するオプション

人間ドックのオプション、CTによる「内臓脂肪面積測定」

糖尿病や高血圧を誘発する内臓脂肪

受診者それぞれが気になる部位や病気リスクをより詳しく調べる、人間ドックのオプションをぜひ活用してほしい。医療施設によって種類はさまざまだが、血液検査や、MRI、CT、マンモグラフィーやエコー、内視鏡などの画像診断などがある。今回は、メタボリックシンドロームと関連性が高い、内臓脂肪を調べるCTによる「内臓脂肪面積測定」を紹介する。

内臓脂肪とは、文字通り内臓周囲に蓄積した脂肪で、皮膚の直下にある皮下脂肪とは、存在している場所が異なる。どちらも同じ脂肪組織であるが、内臓脂肪のほうが代謝の活性が高く、糖尿病や高血圧などを誘発するなど、近接した臓器への影響が出やすい傾向にある。これは、内臓の脂肪細胞が血糖を取り込みやすかったり、血管の太さを調節する血管平滑筋の増殖を促すことで動脈硬化を促進したりするためだ。そのため、内臓脂肪はメタボリックシンドロームの診断基準においても、重要な位置を占めている。

・「内臓脂肪面積測定」検査可能なお近くの医療施設をお探しの方はこちら>

内臓脂肪面積が100平方センチメートル以上は要注意

CTによって内臓脂肪面積を測定する方法をファットスキャン検査という。CTスキャンによって腹部の画像を撮影し、そのデータを元に内臓脂肪の量と面積を測定する。ファットスキャンの結果、内臓脂肪の面積が100cm2以上の場合は、メタボリックシンドロームが疑われる。これに加えて、高血圧、高血糖、脂質異常症のいずれかひとつ以上が確認されればメタボリックシンドロームと診断される。

通常、内臓脂肪は腹囲をメジャーで計測し、この数値をメタボリックシンドロームの診断材料としている。おそらく多くの人は、健康診断で腹囲を計測した経験があることだろう。男性が85cm以上、女性が90cm以上でメタボの条件をひとつ満たすことになる。ただし、これはあくまで表面的な腹部のサイズを測っているに過ぎず、当然のことながら内臓脂肪の面積そのものではない。一方、ファットスキャンのようなCTによる測定法であれば、内臓脂肪の面積を正確に測ることが可能だ。患者自身が画像によって、自分の内臓脂肪を確認できる意義も大きい。

メタボは、心筋梗塞・狭心症の発症率が36倍。腹囲が気になる人はチェックを

メタボリックシンドロームは、ただぽっちゃりという体型的な話ではない。一般社団法人 日本生活習慣病予防協会によると、肥満、高血圧、高血糖、高中性脂肪血症のうち3~4つが該当すると、どれも該当しない場合に比べて心筋梗塞・狭心症の発症率が36倍になるという。健康を大きく左右するものだ。

メタボリックシンドロームの診断基準では、腹囲のサイズが明確に規定されている。それだけに今現在、腹囲が気になる人は、一度ファットスキャンのような画像診断を受けてみても良いだろう。撮影時間は5分程度と短いため、人間ドックのオプションとして受けることをお勧めする。

・メタボリックシンドロームかも?
と心当たりのある方。プランで探せる健康診断はこちらから>

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部