2015.6.18

日本人の死因の3分の2が「生活習慣病」

生活習慣病の定義とは? 疾病は何がある?

生活習慣病生活習慣病とは、1996年に厚生省が疾病対策として提唱した概念だ。かつての成人病の発症や進行は、「加齢」によるものが大きいと考えられてきたが、若い頃からの不適切な生活習慣の積み重ねにより発症することがわかってきた。そのため、生活習慣により発症することを広く理解してもらうという観点から、従来の「成人病」から「生活習慣病」へと名称が変更された。また「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義づけられている。以下に、生活習慣病を引き起こす要因と範囲を区分したものをあげる。

  1. 食習慣・・・2型糖尿病、肥満、高脂血症、高尿酸血症、循環器病、大腸がん、歯周病等
  2. 運動習慣・・・2型糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧症等
  3. 喫煙・・・肺扁平上皮がん、循環器病、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病等
  4. 飲酒・・・アルコール性肝疾患等

代表的な生活習慣病患者は増加傾向

日本人の死因第1位の「悪性新生物」。いわゆるがんのことだ。厚生労働省「平成26年患者調査」によると、患者数は1996年136.3万人から2014年152.6万人と増加傾向にある。そして生活習慣病の代名詞ともいうべき「糖尿病」は、217.5万人から316.6万人へと膨らんでいる。また、厚生労働省は、「平成24年国民健康・栄養調査」を踏まえ、「糖尿病が強く疑われる者」「糖尿病の可能性を否定できない者」の全国推計値が約2,050万人であると報告している。脳卒中、心筋梗塞、腎不全など重大な病気につながる、「高血圧性疾患」においては、20年弱の間に749.2万人から約1.35倍増の1010.8万人となっている。増加傾向にある生活習慣病は、今や、健康長寿の最大の阻害要因だ。

国の対策には、どんなものがある?

国民健康保険をはじめ、政府管轄の健康保険に入っている場合、生活習慣病予防健診を受診できる。検診内容は、メタボリックシンドロームに重点があり、結果に応じて個別面接や、保健師のサポートなどが受けられる。ほかに、医療施設外での政府の取り組みをみてみよう。「特定保健用食品」と書かれているお茶やヨーグルト。これらは、疾病リスクを低減する効果が科学的に立証され、国の認可を得て売られているものだ。また、たばこ対策として、公共機関や職場は原則分煙と、受動喫煙の回避をアピールしている。実際に、飲食店で分煙を実施しているのは約3割(※)で、ファミレスやカフェではもはや主流。分煙は、店舗、喫煙者、非喫煙者みなにメリットがあり、取り入れられるのも頷ける。身近なところでは、こうした政策の浸透がある。

働き盛りは何かと忙しく、自分のことはつい後回しにしがち。病気になる前に、生活習慣を見直して、手軽に利用できるもの、環境、制度はうまく活用していきたいものだ。

※ 2014年(株)日経リサーチ調べ

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部