2015.8.27

負のスパイラルは内臓脂肪から始まる! 検査でわかるメタボのリスク

メタボの下地となる内臓脂肪

内臓脂肪 メタボ私たちの身体には、皮下脂肪と内臓脂肪が存在している。皮下脂肪とは、お腹の皮膚の下に存在し、手でつかむことができる脂肪のこと。一方、内臓脂肪は、腹部の内臓の周囲に存在している脂肪のことを指す。これらを合わせて体脂肪と呼ぶが、健康に悪影響を与えやすいのは後者である。なぜなら、内臓脂肪率(体重のうち、内臓脂肪の重さが占める割合のこと)が上昇すると、メタボリックシンドロームと呼ばれる病態に陥りやすくなるためだ。

メタボは、さまざまな重症疾患を引き起こす下地となる。それだけに、まず内臓脂肪率検査を受けて、自分の肥満度を把握する必要がある。

CTで内臓脂肪の面積を測る

内臓脂肪率検査では、CTで腹部を撮影する。CTによって、腹部をへその位置でスライスすると、皮下脂肪と内臓脂肪がどれだけ蓄積しているかを可視化することができる。このとき注目するのは、内臓脂肪の面積である。内臓脂肪検査で基準値となるのは「100cm2」だ。内臓脂肪の面積がこれより大きければ、内臓脂肪型肥満と診断される。

内臓脂肪型肥満はまさにメタボのベースであり、高血圧や高血糖、脂質異常症も合併していないかも疑われることとなる。このうち2つ以上を合併していればメタボと診断され、動脈硬化などの発症率が急激に上昇することとなる。ではなぜ、内臓脂肪は脂質異常や高血圧を引き起こすのだろうか。

内臓脂肪がメタボを引き起こすメカニズム

内臓に脂肪が過剰蓄積すると、局所的にたくさんの血液が必要となる。その結果、血圧を上げるような化学物質が産生され、高血圧症へと導いていく。また、内臓脂肪率が高いということは、それだけ脂質を過剰摂取しているということでもある。各組織は脂質を処理しきれなくなり、脂質異常という病態を引き起こす。

そして、血液中の脂質にはインスリンの働きを疎外する作用があるため、高血糖を促進するのだ。このように、内臓脂肪がベースとなって、負のスパイラルが始まるである。

ちなみに、内臓脂肪率を正確に測るにはCTがベストであるが、簡易的な方法もある。それは腹囲を測定する方法で、男性85cm、女性90cmが基準値となっている。この値が内臓脂肪面積の100cm2に相当している。ともあれ、内臓脂肪型肥満およびメタボを確実に回避していくためには、年に1回程度、内臓脂肪率検査を受けておくことが望ましいといえる。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部