2015.4.23

生存率を左右する、がんの「ステージ」とは?

がんの「ステージ」は3つの要素で決まる

診断書を書く医師多くのがんで、その進行度は「ステージ」であらわされる。ステージは、0期(ステージ0)から4(ステージIV)期までの5段階に分類され、4期が最も進行している状態だ。ステージによって治療方針や生存率は異なってくる。

ステージは、さまざまな検査結果を総合的に判断して判定される。その際に判断基準となるのは、がんの大きさ、周辺のリンパ節への転移の有無、他の臓器への転移の有無の3要素である。このステージの判定は、治療方針を決めるうえで非常に重要な意味を持つ。

0期はがんが上皮組織(粘膜)にとどまっているもの。1期は上皮組織を超えているが筋肉層にとどまっているもの。2期は筋肉層を超えて浸潤しているが、リンパ節への転移のないもの。3期は筋肉層を超えて浸潤しており、リンパ節転移も見られるもの。4期は、がんがはじめにできたところから周りの主要な血管や離れた他の臓器への転移があるものだ。

がんは早期発見で90%が助かる!

がんではよく「5年生存率」という言葉を使う。これは、「がんの治療開始から5年後に生存している人の割合」のことをいう。この中には、再発せずに生存している人と、再発したものの生存している人が含まれる。膵臓がんや肝臓がんなど一部のがんを除いて、1期では多くのがんで5年生存率が80~90%を超える。ステージが進むほど下がっていき、4期ではがんによっては数%に下がる。

がんを発病したとしても、ステージの低い早期に治療をしておけば、5年生存率は大きく高まるのだ。がんの早期発見・治療がいかに大切であるかがわかる。

死因トップ3! 肺、胃、大腸がんをもっと知ろう

がんによって、症状はさまざまだ。まずは、男女ともに死因のトップ3を占める、肺がん、胃がん、大腸がんについて、進行度別症状と生存率を知っておこう。

肺がん
【初期症状】長引く咳、痰、胸痛、息切れ
【進行後の症状】吐き気、頭痛、黄疸、全身倦怠感
【転移場所】脳、肝臓、副腎、骨
【5年生存率】1期83.8%、2期50.1%、3期22.4%、4期4.8%(※)

胃がん
【初期症状】胃痛、胸やけ
【進行後の症状】吐き気、食欲不振、黒い便、体重減少
【転移場所】肝臓、肺、腹膜、骨
【5年生存率】1期98.1%、2期66.4%、3期47.3%、4期7.3%(※)

大腸がん
【初期症状】便秘、下痢、便秘と下痢の繰り返し、腹痛、腹部膨満感
【進行後の症状】血便、貧血、腸閉塞
【転移場所】肝臓、肺、骨、腹膜
【5年生存率】1期98.9%、2期91.6%、3期84.3%、4期19.6%(※)

がんによってはほとんど症状の現れないものがある。早期発見・治療のために、人間ドックで定期的にチェックしておくことが大切だ。

※全国がん(成人病)センター協議会「全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2006-2008年 診断症例)」

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部