2015.11.12

もう「冬は太りやすい」なんて言わせない! 10分間の身震いで、やせ体質に

身震いの意外な事実

雪だるま寒い日、建物から外に出たときや服を脱いで浴室に入ったときなど、思わず身震いをしてしまうことがある。気温が15℃以下になると身体が震え出すといわれているが、できれば身震いするほど寒い思いはしたくないはず。しかし、「これなら寒さに耐えてもいいかな」と思える、身震いに関する研究結果が明らかになった。なんと、10分間寒さに耐えながら震え続けていると、1時間エクササイズをしたのと同量のカロリーを消費するというのだ。

明らかになった身震いの効果

シドニー大学のポール・リー氏らが行った研究によると、身体がブルブル、ガタガタと震えるほどの寒さを体感した場合、筋肉からアイリスイン、褐色脂肪細胞からFGF21というホルモンがそれぞれ分泌されることがわかった。この2つのホルモンは、蓄積型の脂肪(白色脂肪)を刺激し、脂肪を燃焼させる褐色脂肪を作り出す働きをする。実験の結果、アイリスインとFGF21は、6日間かけて、白色脂肪を褐色脂肪に変えることが明らかに。また、アメリカの国立保健研究所で行われた実験では、健康な男女が1時間ほど自転車をこぎ続けた場合と、室温を27℃から12℃に下げて10分間寒さを我慢した場合で、消費カロリーがほぼ同じだったという。さらに、白色脂肪が褐色細胞に変わるメリットは、脂肪を燃焼させてダイエット効果が期待できるだけではなく、糖尿病、脂肪肝、肥満の予防にもなることだ。

10分間寒さに耐える努力を

海外では身震いによるダイエット効果を狙って、保冷剤を入れて着用するベストが販売されているそうだ。しかし、身体を冷やし過ぎて風邪をひいてしまうリスクもある。薄着にしたり、部屋の温度を下げたりして、10分間寒さを感じるようにすればよいだろう。

褐色細胞が増えれば増えるほど、太りにくい体質になる。寒い日は、暖房のきいた温かい部屋にこもっていたいが、やせたい人は寒さを感じるための少しの努力をしてみよう。これからは「冬は太りやすい」とは言えなくなりそうだ。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部