今、話題の「ケトン体」。
糖質オフダイエットで、一躍有名になったケトン体は
アルツハイマー病の改善や乳がん予防の分野でも注目されている。
「いつまでも若々しく、健康でありたい」という願いを叶える
ケトン体の魅力に迫る。

2016.3.17

食後に眠くならない!? ケトン体ダイエット法

糖質は悪? 一世風靡したアトキンスダイエット

South American businessman laying in grass
ケトン体ダイエット法は、通常1日に200〜300g摂取している炭水化物の摂取量を20〜40gに制限し、糖質の代わりに脂肪をエネルギーとして使うダイエット法で、米国のロバート・アトキンス博士が考案したダイエット法を改良したものである。アトキンス博士は、肥満が蔓延した背景に砂糖などの単糖類、白米や白い麺類やパンなど精白された穀物などの「悪い」糖質が大量に消費された時代背景があると指摘。アトキンスダイエットはアメリカで一代ブームとなった。しかし、2003年4月アトキンス博士は転倒による頭の強打によって死亡、死亡時に体重が116kgあったことからアトキンスダイエットのブームは急速に冷めていった。

ケトン体ダイエット法で、極端なカロリー制限なしでも−10kg!

糖質をほとんど摂取しないようにすると、身体は代わりに体内の脂肪を分解。肝臓でケトン体を産生し脳や筋肉でケトン体をエネルギーとして使うようになり、結果として、体内の脂肪を燃焼しやすい状態となり体重が減るという理論である。 このダイエット法ではタンパク質や脂質には制限がないので極端なカロリー制限をしなくても減量できるのが特徴である。

自著『糖質オフダイエット』(日本文芸社)のなかで8人のボランティアに「白澤式ケトン体ダイエット」を実践してもらった。ボランティア全員が血中、尿中のケトン体が陽性となったが、倦怠感や悪心などのケトアシドーシスの症状を示す人は1人もいなかった。ある30歳代の男性はなんと血液中のケトン体が約100倍にもなったが、体調を崩すこともなく健康的な減量を達成できた。男性の体重はコンスタントに減り、1ヶ月で9.2Kgの減量に成功した。これまでに何度もダイエットに失敗してきた人でも、血中のケトン体が高値をしめしている間はコンスタントに体重を減量できることがわかった。

食後に眠くならないから、仕事の効率アップ

ケトン体ダイエット中の身体の変化で、ボランティアに最も喜ばれたことは「食後に眠くならない」ことであった。日本人はお昼を食べた数時間後に睡魔におそわれるが、この睡魔はおもにお昼に食べた糖質による効果なので、糖質オフダイエットを実践していれば食後に眠くならないのだ。

ランチで丼ものや麺類などの炭水化物を摂ると一過性に血糖が上昇し一時的にテンションが高まる。しかし、その高血糖にたいしてインスリンが過剰反応して血糖は急降下、激しい睡魔におそわれテンションも下がってしまう。血糖が急降下する時、気分はイライラして、ときにキレたり、神経症やパニック障害などの精神症状を呈することもある。自動車を運転しているときに、居眠り運転してしまうのもこの睡魔に襲われる時間帯なのだ。

つまりこれらの症状は食事のなかの糖質とそれに反応するインスリンの作用と考えられる。低血糖時に甘いものを食べたりブドウ糖の補給をすると急激に血糖が上昇しイライラ症状が瞬間的に解消するので、多くの人が「自分には糖質が不足していたのだ」と勘違いする。しかし、症状を緩和するために摂取した糖質でさらに高血糖と低血糖の乱高下を繰り返すことになる。一方ケトン体を脳に供給している状態では、神経細胞が鎮静化されるので、落ち着いて仕事ができ睡魔に襲われることもない。ケトン体ダイエットは、けいれん発作を抑制することから癲癇(てんかん)の患者さんに使われている実績があるほどだ。

ケトン体ダイエットを実践すれば、減量はもちろん、午後の会議で睡魔に教われることがなくなり、仕事のパフォーマンスを上げることもできそうだ。


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Colorda編集部