今、話題の「ケトン体」。
糖質オフダイエットで、一躍有名になったケトン体は
アルツハイマー病の改善や乳がん予防の分野でも注目されている。
「いつまでも若々しく、健康でありたい」という願いを叶える
ケトン体の魅力に迫る。

2016.3.17

燃焼系の身体へ変身!? 注目のケトン体ダイエットとは

糖質オフダイエット=ケトン体ダイエット

Diet concept
巷には、さまざまなダイエット法が氾濫している。嘘か誠かも疑わしい情報もある。また、本屋にはたくさんのダイエット本が並び、どのダイエット法が自分に適しているのか迷ってしまうだろう。

そんななかで「糖質オフダイエット」は最近のトレンドである。アトキンス博士により推奨され米国で流行したこのダイエット法は、炭水化物を減らせばよいだけの単純な方法で、誰でも簡単に導入できる点が利点である。

糖質オフダイエットは別名「ケトン体ダイエット」とも呼ばれ、摂取する糖質を減らすことで、身体のエネルギー源を糖質から「ケトン体」に変えるものだ。脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪が分解されて、肝臓でケトン体が合成されるので、ダイエット期間中は確実に脂肪が燃焼して体重が減少していく。

痩せるだけじゃない、ケトン体は若々しさの源

実は、これまでケトン体は「悪者」のレッテルを貼られていた。しかし今、酸化ストレスを減弱させるアンチエイジング効果がある「善玉物質」であると報告され話題を呼んでいる。

米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のエリック・ヴァーディン教授はケトン体のなかでも血中で最も大量に産生されるβヒドロキシ酪酸に注目した。βヒドロキシ酪酸は、カロリー制限中の人や飢餓状態で健康な人の血中にも検出できるため、その役割は単に、ブドウ糖にかわるエネルギー源と考えられていた。しかしヴァーディン教授が、βヒドロキシ酪酸をゆっくり放出するポンプをネズミの皮下に植え込んだところ、ネズミの抗酸化酵素の遺伝子発現が増強して酸化ストレスに対して強くなっていたことを発見したのだ。さらに、ネズミにパラコートという酸化剤を投与して細胞の老化を促進させたところ、驚くべきことにポンプが埋め込まれたネズミは身体が酸化せずに若々しく保つことができたのだ。これまでもカロリー制限やプチ断食でによるアンチエイジング効果は知られていたが、ケトン体そのものに、その効果があることがわかった。

筋力を減らさずに痩せる方法が判明

さらに最近、ダイエット時に避けられないと考えられていた筋肉量の低下を防ぐ有効な方法も発表された。米国陸軍省環境医学研究所のスティーブン・パシアコス博士らの研究グループは39人のボランティアを3群に分け、カロリー制限と運動による21日間のダイエットを指導した。第1群には推奨量のタンパク質量(0.8g/kg)、第2群には推奨量の2倍量、第3群には3倍量のタンパク質を摂取するように栄養指導をした。

その結果、第1群は最も減量効果が大きかったが、減量分の58%は本来減らしたい脂肪ではなく筋肉の減量だったのに対し、第2群は第1群と比較して減量効果は若干少なかったが、筋肉減少は30%にとどまり70%は脂肪分の減少だった。一方、第3群はタンパク質摂取にも関わらず減量分の36%は筋肉減少だった。パシアコス博士はダイエット中の筋肉減少を抑えるためには推奨量の2倍量のタンパク質を摂取することが必要と結論した。

流行りの糖質オフダイエットは、炭水化物好きにとっては「食欲との厳しい闘い」でもあり長続きしない場合が多い。しかし、無理なく続けることができれば、ケトン体の働きで、脂肪を燃焼するだけでなく、アンチエイジング効果も期待できる。タンパク質をうまく取り入れながらダイエット中も食事を楽しんでほしい。一時的に減量できても、最終的にリバウンドしてしまえば、元も子もない。生活習慣病の改善やさまざまな予防医学的な効果は結果的には帳消しになってしまうのだから。


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Colorda編集部