2015.11.16

がんと向き合い自分らしく生きるための緩和ケアとは?

緩和ケアは、がんと診断されたときから始まる

ライフスタイル
緩和ケアとは、重い病を抱える患者とその家族の身心のつらさをやわらげ、よりよい生活をするために行うケアだ。医学的な面からだけではなく、身体的、精神的、社会的、そして“スピリチュアルな痛み(生きる目的や価値を見失うこと)”についてやわらげていく。

がんにおける緩和ケアは、がんと診断されたときから始まる。病気が進行したときに受けるものだと誤解されることもあるが、決してそうではない。そのケア内容は、がん患者として病気の側からとらえるのではなく、その人らしさを大切にし、生活を守るためにある。がんの治療中かどうかは問わず、入院中、自宅療養中、通院中など、どのような状況においても受けることができる。

患者や家族に合わせたケア方法

専門的なケアを受けるには、おもに、医療機関の緩和ケアチームの診療を受けるか、または緩和ケア病棟への入院かの2つの方法がある。

緩和ケアチームは、患者の社会生活や家族のためのサポートを行うため、医師や看護師のほかに、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど、さまざまな職種のメンバーで構成されている。チームによる外来診療を受けるための費用は、1日4,000円×健康保険の自己負担率。たとえば、3割の自己負担の場合、4,000円×0.3=1,200円となる。また、自宅や介護施設、グループハウスで在宅緩和ケアを受けることも可能。担当医や緩和ケアチームと連携し、患者や家族に合わせたサポートをしていく。費用は、健康保険3割負担で週3回の訪問の場合、36,000円程度になる。

よりよい療養生活を送るために

緩和ケア病棟への入院は、がんの進行による身心への負担が大きく、抗がん剤治療や放射線治療などの医療的な治療が困難、あるいはこのような治療は希望しない患者が対象となる。病棟には、患者や家族がくつろぐためのデイルームや設備があったり、ペットと一緒に過ごせるなど面会の制限を少なくしたりして、心身の苦痛緩和に注力できるような体制になっている。費用は、入院1日49,260円で、健康保険3割負担の場合、1日14,778円となる。1ヶ月に支払う医療費が一定の額を超えた場合は高額療養費制度を利用し、自己負担の超過分が返金される。

これまでの医療は、がんそのものを治すことに力が入れられてきたが、近年では、患者がどのように療養生活を送るかということも大切だとされている。緩和ケアは、担当医から案内されることが多いが、患者自らや家族から希望することもできる。相談窓口は、担当医や看護師、またはがん相談支援センター、最寄りの在宅緩和ケアセンターがある。


Colorda編集部