2016.5.9

誰でもできる! 薬味を使った健康管理のススメ

2000年前から存在する料理の名脇役

ThinkstockPhotos-513585402焼き魚に大根おろし、刺身にわさび、冷奴にネギやショウガなど、香りや辛味を加えて味や料理を引き立ててれる薬味。そのほかにも、大葉、ミョウガ、ニンニク、ネギなど様々な薬味が存在する。さながら舞台の名脇役といったところだが、実は、健康面で主役級の働きをする。

そもそも、薬味というのは「薬の味」と書くのだから、薬のような効果があるのではないかと想像がつくだろう。もとをたどれば、1~2世紀頃に書かれた中国の書物に、「五味」という言葉が出てくる。五味とは、「甘味」「苦味」「酸味」「辛味」「塩味」のこと。書物の中では、この五味のことを薬味と呼び、食べ物それぞれの味の効能を考慮して、食事に摂り入れている様子が記されている。薬味は2000年以上前から、健康管理を意識した食事には欠かせないものだったことがわかる。

整腸作用に、殺菌作用!効果的に薬味を使うコツ

薬味別に効能を見てみることにしよう。

まずは、日本の食卓に欠かせないネギ。ネギの白い部分は食物繊維が多く、整腸作用がある。緑の部分のネバネバには、免疫細胞を活性化する効果が期待できる。加熱するとうまみが出るので、切って捨ててしまわずに、味噌汁などに入れて使ってほしい。

次にショウガ。ジンゲオールという辛み成分に、血行や新陳代謝を促進する働きがある。また、加熱したり乾燥させたりすると、ジンゲロンという成分になり、高い殺菌作用を発揮する。

ほかにも、大葉は胃液の分泌を促す成分を持っており、肉や魚と一緒に食べたり、パスタやうどんと混ぜたりすると、食欲がわく。大根は、部位によって含まれる成分の多さが異なり、薬味の要素が強い先端部分は、消化を助けるジアスターゼを多く、胸やけや胃酸過多に効くため、二日酔いのときなどに効果的だ。また、皮に近くなるほど、ビタミンCの含有量が多くなる。ジアスターゼもビタミンCも熱に弱いため、大根おろしで食べると効果的だ。

薬味で減塩し、高血圧予防を叶える

薬味の使用は、高血圧予防にもつながる。というのは、料理の味を調える際に塩を使わず、薬味を使って素材の味を引き出すことができるからだ。加えて刺激や風味、見た目のきれいさで食事の満足感を得やすいのだという。薬味の減塩効果についての実験も行われており、パセリやセロリから抽出した成分に塩を少し加えて飲むと、塩だけを口にしたときより塩気を強く感じたという結果が報告されている。

また、薬味は1種類だけを食べるより、数種類を一度に食べるのもよい。ネギ、ショウガ、ミョウガ、大葉、カイワレなどを細かく刻んで混ぜ、お肉や豆腐の上に乗せたり、味噌汁に入れたりすると、塩分控えめでも味が引き締まって美味しく頂ける。30代、40代からは、健康のために塩分を控えた食事をするにこしたことはない。薬味を上手に使って、薄味の食事に慣れていくようにしたい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部