2016.7.11

エコノミー症候群にかかりやすい人の特徴は、ズバリこんな人!

誰にでも可能性があるエコノミー症候群

Airplane, an intercontinental flight長時間同じ姿勢をとることで引き起こされてしまうエコノミー症候群。名前から飛行機に乗ったときのみに起こる症状だと思われがちだが、オフィスでのデスクワークや会議、映画館や劇場、列車やバス移動など、長時間同じ姿勢が続けば同じことだ。また、狭い空間の中で自由に動くことができない避難所生活でも、起こる可能性がある。
長時間座ったままの状態だと、足や下腹部の血液の流れが悪くなり、静脈の中に血液の塊(静脈血栓)ができる。これを「深部静脈血栓症」という。この静脈血栓が、歩行などを聞かっけとして足の血管から離れ、血流に乗って肺に到達し、肺の動脈を閉塞する。これを「急性肺血栓塞栓症」という。呼吸困難を生じ、重症の場合は、心臓発作や意識を失い、死に至ることもあるほどだ。「エコノミー症候群」とは、この「深部静脈血栓症」と「深部静脈血栓症の両者のことを指している。

エコノミー症候群を起こしやすいのはこんな人

いつ何時、自分にも起こるかもしれないものとして、エコノミー症候群について、あらためて確認してみよう。なりやすい傾向にあるのは、「糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病を持っている人」「肥満気味の人」「下肢静脈瘤を持っている人」「下肢の手術を受けたことのある人」「骨折等の怪我をしている人」「がんを患っている人」「過去に深部静脈血栓症・心筋梗塞・脳梗塞などを起こしたことのある人」「経口避妊薬を内服している人」「妊娠中または出産直後の人」だ。以上の傾向に合致しなくても、少しでも健康に不安のある人や健康診断で何らかの指摘を受けている人は注意した方がいいだろう。

自分でできる、エコノミー症候群の予防法

エコノミー症候群は、自己の心がけで予防ができる。まず、血液粘度を上げないために、こまめな水分補給をすること。飲料水のなかでも、ミネラルウォーターよりイオン飲料のほうに効果があるとの実験結果もある。ビールなどのアルコールは利尿作用があり、脱水状態を引き起こすため、控えるべきだ。

次に、ふくらはぎのマッサージや足をこまめに動かす運動をしよう。また、座りっぱなしを防ぐため、トイレに立って身体を動かすように心がけたい。そのためには、窓際の景色のよさを諦め、席を立ちやすいように通路側の座席を取るのも策だ。

男性ストッキインギグを履いたり、足を組まないようにしたりするなど、何気ないことかもしれないが、こうした些細なことが予防につながる。自分は大丈夫と過信せず、できる限りの予防をしておくことが望ましい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部