プリン体はどうして身体に悪いの?
過剰に摂取し続けると、痛風や高尿酸血症を引き起こしてしまうプリン体。通常、体内で分解、尿酸になって排出されるが、大量に摂取すると排出能力を超えてしまい、体内に蓄積されて高尿酸血症をおこし、痛風の原因となる。よく、ビールを飲むと痛風になるといわれているが、実は、ビールや発泡酒に含まれるプリン体はそれほど多くはない。しかし、ビールを毎日飲み続けると、6年間に血清尿酸値が0.5~1.0mg/dL上昇し、さらにアルコールの作用が加わって尿酸値が上がるという。
実は、ビール以上に気をつけてほしいものは、普段食べている食品だ。意外な食品にプリン体が多く含まれている場合があるのだ。そこで今回は、ビール以外にも気をつけたい食品16選を紹介する。
知らなかった! プリン体が極めて多い食品8つ
100g当たり含有量300mg以上の、プリン体が極めて多い食品は次のとおり。
食品 | プリン体含有量 |
---|---|
煮干し | 746mg |
かつお節 | 493mg |
アンコウ肝(酒蒸し) | 399mg |
干し椎茸 | 380mg |
鶏レバー | 312mg |
マイワシ干物 | 306mg |
イサキ白子 | 306mg |
クロレラ | 3183mg |
煮干し、かつお節に多く含まれているということで驚くかもしれないが、おもに出汁に使ったり、かつお節は冷奴やおひたしなどに少量をかけたりする程度。一般的に100gを口にする機会はないだろう。また、アンコウの肝やイサキの白子も、時々、少量なら問題はない。クロレラは、健康食品やサプリメントが市販されているが、規定の量を摂取しても、1日に1~3g程度なので、こちらも心配はないといえる。だだし、含有量は多いことは肝に銘じておこう。
干物好きは要注意!? プリン体が多い食品8つ
100g当たり含有量200~300mgの、プリン体が多い食品は次のとおり。
食品 | プリン体含有量 |
---|---|
豚レバー | 285mg |
大正エビ | 273mg |
マアジ干物 | 246mg |
オキアミ | 226mg |
牛レバー | 220mg |
カツオ | 211mg |
マイワシ | 210mg |
サンマ干物 | 209mg |
こちらの食品は1回に食べる量が100g以上となる場合が多いので、気をつける必要がある。『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』では、「1日400mgを目安に」としているので、食べ過ぎに注意するとともに、きのこ類や海藻類など、尿をアルカリ化し、尿酸の排出を助ける食品と一緒に食べるなどの工夫をしたい。
ビールも同様。ビール1缶350mlあたりのプリン体含有量は12~25mg。飲み過ぎなければ、さほど厳しく制限する量ではない。しかし、ビール好きは1缶でとどまることができないのが問題だ。冷奴、オクラ、そら豆などプリン体が少ないものをおつまみに食べたり、定期的に休肝日をつくったりして、プリン体の体内蓄積を予防しよう。

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)