2016.11.28

食品添加物とは結局なんなのか? 身体に悪影響を及ぼすのか?

食品添加物とは?

IMG_7076食品添加物とは、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもの。豆腐作りに必要な「にがり」、こんにゃくを作るのに使う「消石灰」など、食品添加物は中国から伝わり、日本での利用は1000年以上の歴史がある。「食品添加物」という言葉が使われ始めたのは第2次世界大戦後からだ。食品衛生法では、「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものをいう』と定義している。

2016年10月の時点で、指定添加物は454品目、既存添加物名簿に記載されているものは365品目、そのほか天然香料と一般飲食物添加物に分類されている。指定添加物は食品安全委員会が評価し厚生労働大臣が指定するもの、既存添加物は長年の使用実績が認められた天然添加物、天然香料は動植物から採れる物質を食品の香りづけに使用するもの、一般飲食物添加物は飲食されているもので添加物として使用されるものをいい、例えば、寒天、ターメリックなどである。

なぜ食品添加物は使われるの?

食品添加物の使用には、次のような目的と種類がある。

  • 食品の製造、加工に必要なもの
  • 食品の品質を保ち、保存性をよくするもの
  • 食品を形成し、食感を持たせるために必要なもの
  • 食品にうま味、甘味、酸味をつけるために必要なもの
  • 食品に色をつけたりとったりするために必要なもの
  • 食品の栄養成分を補ったり強化したりするために必要なもの

食品添加物は身体によくないというマイナスのイメージを持たれているが、食品添加物なしでは今の食生活は成り立たなくなる。目にする機会が増えた「無添加」と書かれた食品は、一見、添加物がまったく入っていないように思えるが、実はそうではないことが多い。「化学調味料無添加」や「着色料無添加」など限られた添加物が入っていないという場合や、保存料を必要としない食品であるにもかかわらず、「保存料無添加」とうたっている場合もある。

食品添加物は食べても大丈夫?

食品安全委員会がADIという摂取一日許容量を設定し、食品添加物の安全性の評価を行っている。その評価をもとに、厚生労働省は、日常の食事で摂取する食品添加物の量がADIを下回るように、使用の基準を定めて管理をしている。ADIとは、Acceptable Daily Intakeの略で、ある物質について、人が障害その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のこと。また、数値は余裕を持って設定されているため、日常生活でさまざまな食品を食べて、たまたまADIを超えてしまう日があるかもしれないが、心配はしなくてもよい。

食生活において、食品添加物は避けて通れないもの。マイナスイメージだけを持って不安なまま口にするのではなく、安全性を約束する基準のもとで使われていることを理解したい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部