2017.1.21

突然起こる蕁麻疹、その対策は?

蕁麻疹とはどんなもの?

S_shutterstock_553730416蕁麻疹は、皮膚の血管周囲にあるマスト細胞中のヒスタミンという物質が、何らかの刺激によって細胞の外へ出されることで起こる。放出されたヒスタミンが毛細血管を拡張させると、血液が血管の外へ流れ、かゆみや熱のある感覚をともなって、赤み、ミミズばれ、ブツブツといった蕁麻疹の症状が出てくる。數十分から数時間で消えてしまうものから、数日で治るもの、急性・慢性にかかわらず定期的に繰り返すものなど、一様でない。また、蕁麻疹と同様の症状でも、1日以上続いて、かつ痕が残ったり、皮膚がボロボロとむけたりしたときには、蕁麻疹ではない病気の可能性がある。

蕁麻疹の種類と原因になりやすい食べ物

蕁麻疹は大まかに7つに分けられる。

  1. 急性蕁麻疹…毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症から1ヶ月以内のもの。原因は細菌やウイルス感染が多い。
  2. 慢性蕁麻疹…毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、1ヶ月以上経っても治らないもの。原因はわからないことも多い。
  3. 物理性蕁麻疹…摩擦、圧迫、暑い寒い、日光、振動などの物理的な刺激で起こるもの。
  4. コリン性蕁麻疹…入浴や運動によって汗をかくと出る蕁麻疹。小児から若い成人に多いとされる。
  5. アレルギー性蕁麻疹…食品、薬剤、昆虫など特定の物質(アレルゲン)に反応するもの。
  6. イントレランス…アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、色素、造影剤、食品に含まれるサリチル酸により起こるもの。
  7. 血管性浮腫…急性に起こり、唇やまぶたが腫れるもの。かゆみはない。2〜3日かかって消失する。

アレルギー性蕁麻疹は、乳製品アレルギーや蕎麦アレルギーや小麦アレルギーなど、細かくアレルギーが分類される。蕁麻疹を起こしやすい食品群は以下だ。

  • サバ、アジ、エビ、カニなどの魚介類
  • 豚、牛、鶏などの肉類
  • 卵、牛乳やチーズといった乳製品
  • 大豆、そば、小麦などの穀物

検査と治療方法について

アレルギーの原因を特定するために、血液検査や、原因と思われる物質を注射する検査を行う。また、皮膚に物質を置き、針で刺激するテストもある。光や摩擦など、外部からの影響が疑われる場合には、その環境を改めて試し、原因を特定する。

治療法は、原因となる物質や条件を取り除く、または避けるようにすること。また、ヒスタミンが血管や神経に働くことで蕁麻疹を起こすため、ヒスタミンの作用を抑えるために、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、漢方薬などが処方される。これらは塗り薬よりも内服薬、注射に効果が高い。

普段の生活で気をつけたいことは、アレルギーを起こす食品を摂らない、食品添加物の防腐剤や色素を含む食品を控える、魚介類や肉類はできるだけ新鮮なものを摂取すること。さらに、ストレスがしばしば蕁麻疹を悪化させる原因となる。毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹では、心身のストレスによって症状が悪化することが多い。そのため、蕁麻疹の原因となりやすい疲労やストレスはできるだけ溜めないようにすることも大事だ。

原因がはっきりするものとしないものがある蕁麻疹。また、突然発症することで不安感も大きく、経過が長くなるほど治るまでに時間がかかることが多い。悪化しないうちにアレルギー検査や、治療での対処をしておくのが肝心だ。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部