2015.9.17

死亡率が急上昇!? 1日1箱以上たばこを吸う人が受けるべき検診とは?

1日1箱以上たばこを吸う人の数は減少傾向

たばこ日本人の喫煙状況は、毎年、「国民健康・栄養調査」で調査が行われている。2015年のデータによると、全国の成人の喫煙率は男性で31.4%、女性で8.3%となっている。喫煙率は、1990年代半ばから男女ともに減少傾向が続いている。

このうち、たばこを1日1箱以上吸う人を、重度喫煙者と呼び、2010年度以降は喫煙者全体の10%程度まで減少している。ちなみに、現在習慣的に喫煙している人のうち、たばこをやめたいと思う人の割合は、男性は21.6%、女性33.6%と、2007年以降、男女ともに有意な変化は認められていない。

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重度喫煙者がかかりやすい病気とは

国立がん研究センターは、たばこを吸う人の死亡率は、吸わない人と比べると、明らかに上昇するという研究結果を報告した。男性では1.6倍、女性では1.9倍、死亡率が上昇する。これは喫煙習慣によって心臓病やがん、脳卒中といった疾患を発症しやすくなるためだ。

がんに限っていえば、男性のがん全体の29%、女性のがん全体の3%が、喫煙習慣が原因で発症している。それだけ、がんと喫煙には密接な関係があるのだ。とくに肺がんは、男性70%、女性20%は喫煙が原因と考えられている。たばこの煙の中には、発がん物質が数十種類も含まれており、DNA複製の際に、これらが遺伝子の異変を引き起こし、細胞をがん化させていくと考えられている。

また、たばこの煙に含まれるニコチンが、交感神経系を刺激し、血圧や脈拍を上昇させ、さらに血液中に一酸化炭素が増加し、心臓に多大な負担をかける。同時に血管にもダメージを与えるため、心臓病や脳卒中などを引き起こすのだ。

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がん検診や脳ドックを受けて病気の早期発見

1日1箱以上たばこを吸う人は、まず、がん検診を受けてほしい。たばことの因果関係が強いとされているがんは、肺、口腔、鼻腔と副鼻腔、食道、胃、肝臓、膵臓、尿路、子宮頸部などだ。検査方法は、腫瘍マーカーやPET検査がある。腫瘍マーカーはいわゆる血液検査で、がんが産生する特徴的な物質が血液に含まれているかを測定する。おもに進行したがんを発見するのには有効な検査だ。いっぽう、がんの早期発見が可能なのはPET検診だ。がん細胞に目印をつけることができる特殊な検査薬を注射し、全身に行き渡らせてから、専用の機器で撮影をするものだ。1cm未満の微小ながんも発見できる。検査費用は医療機関により異なるが、10万円前後が一般的である。

また重度喫煙者は、血管に大きなダメージが蓄積している可能性がある。脳卒中や心臓病など、循環器系の疾患を発症するリスクが高いので、心臓ドックや脳ドックといった検診を受けて、血管の状態も確認しておきたい。

もちろん、今日からでも禁煙することで病気のリスクを下げることができる。口腔がん、食道がん、胃がん、肺がん、子宮頸がんなどは、禁煙することでがんのリスクが低下するという研究結果が出ている。健康のために、今一度、考えてみてはいかがだろうか。

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上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部