2017.5.22

コンタクトレンズで失明することも! もう一度取り扱いをチェックしよう

コンタクトは「高度管理医療機器」という事実

インターネット販売もあり、今や手軽に購入、使用できるコンタクトレンズだが、実は人工透析器や心臓用ペースメーカーと同じ「高度管理医療機器」に分類されるほど、身体に影響を及ぼすものであることをご存知だろうか。

ワンデータイプを何日も付けている、保存液をきちんと取りかえていないなど、心当たりがある人は要注意だ。取り扱いや洗浄を正しく行わなかったり、眼に起きた異常を放置しておいたりすると、最悪は失明の可能性もある。装用による酸素不足と感染症、角膜が傷つくことがおもな問題となるが、どんな病気を招いてしまうのだろうか。

コンタクトが原因で起こる眼の病気とは?

コンタクトレンズ装用が引き起こす、代表的な疾患には、以下のようなものがある。

角膜びらん

角膜の上皮がはがれて内部が出てしまっている状態。コンタクト装用による酸素不足やドライアイが原因となる。点眼治療すれば数日で治るが、再発性角膜上皮剥離になることがある。

角膜感染

角膜の上皮がはがれた開放性の傷で、感染により引き起こされる。放置すれば失明する可能性がある。コンタクトをつけたままの睡眠やコンタクトの汚れによる感染が原因。期限切れのソフトコンタクトレンズの着用や、使い捨てのコンタクトレンズを長期間使用する人は、角膜炎を発症するリスクが高くなる。症状として、眼の痛みや炎症、過度の涙、眼の異物感、光に対する過敏症などがある。点眼薬で治療するが、重症の場合、角膜移植が必要になることもある。

角膜新生血管

コンタクト装用による酸素不足から、角膜に酸素を送り込もうとして、本来ないはずの血管が角膜にできてしまう病気。角膜パンヌスともいう。症状として、充血、異物感がある。進行すると、視覚障害や失明のおそれもあるが、軽症ならばコンタクトの使用を中止することで回復する。

巨大乳頭結膜炎

主に、コンタクトレンズの汚れが原因で、上まぶたの裏(結膜)にブツブツしたものができるアレルギー性の疾患。充血、異物感、目ヤニなどの症状があらわれる。治療としては、コンタクトレンズの使用を中止し、点眼治療を行う。

角膜は、表面から上皮、実質、内皮の3つの層に分かれている。実質まで傷つくと傷跡が残り、明るさは認識できても、視力がほとんどない状態になるおそれがある。内皮は水分調整を行い、角膜の透明度を保っている。加齢でその細胞は減っていくが、コンタクトの装用で酸素不足になると内皮の細胞がダメージを受けて変形・脱落し、減少が加速する。

メガネと併用が基本、そして洗浄と保管をしっかりと

現代は、パソコンや冷暖房の影響でドライアイになりやすい。それに加え、コンタクトをつけていればさらに眼は酸素不足の状態に。まずはメガネで生活するのを基本にして、スポーツをするときや用途にあわせてコンタクトを使うのが理想的だ。ハード、ソフト、2週間交換、ワンデータイプなどがあるが、コンタクトを購入した際には注意事項をよく読んで必ず守ること。使い捨て以外は、洗浄、保存をきちんとするのはもちろん、レンズケースも洗って清潔にしておこう。レンズの汚れであるタンパク質にアレルギー反応を起こすこともある。レンズケースは定期的に酵素洗浄剤や塩素系洗浄剤などを使ってタンパク除去をしておこう。また、定期的に眼科で検診することも大切だ。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部