2017.5.29

お茶を飲むほど発がんリスクが下がる!? 日本が誇る健康食材「緑茶」の健康効果

緑茶は健康パワーの宝庫

日本の伝統的な飲み物である緑茶。茶葉を急須に入れてお湯を注いで飲むようになったのは、江戸時代のことだ。近年は本来の入れ方で飲むよりも、ペットボトルで飲むほうが身近になってきている。なかには脂肪や糖の吸収を抑制するといった効用で、「特定保健用食品(トクホ)」に指定されている商品も登場し、緑茶のさまざまな健康効果が国内外を問わず注目されつつある。「緑茶を飲む習慣のある人ほど全死亡リスクが低下する」という研究結果が、国立がんセンターから発表されている。そこで、緑茶の二大健康成分だといわれる「カテキン」と「テアニン」について、効果とそれを引き出す飲み方を紹介する。

がん予防も!? カテキンが生み出す健康効果がすごい!

茶の渋味成分であるカテキンは、ポリフェノールの一種で、さまざまな健康効果が期待されている。具体的には、脂肪蓄積の予防、コレステロールや中性脂肪の上昇抑制、血糖値や血圧上昇の抑制、抗菌・抗ウィルス作用、抗酸化作用、発がん抑制、腸内環境の改善、血液をさらさらにする、老化抑制などである。

多くの健康効果が期待されているカテキンだが、なかでも発がん抑制効果に注目してみたい。国立がん研究センターがん予防・検診研究センターが報告した「緑茶と胃がんリスク」によると、緑茶を1日5杯以上飲む女性は、1杯未満のグループより胃がんのリスクが21%低く、緑茶を飲む頻度が増すほどリスクが低くなる傾向にあることがわかった。

テアニンのリラックス効果に注目!

お茶に含まれるうま味成分であるテアニンは、アミノ酸の一種で、リラックス効果やストレス緩和、集中力アップや睡眠の質を改善する効果があるとして注目されている。

テアニンが入った水溶液を飲んだあと、リラックスの指標とされるα波が脳内に出るという研究結果が報告されているほか、静岡大学は、精神的ストレスをテアニンが抑制するという因果関係を明らかにしているからだ。

さらには、『日本生理人類学会誌』に掲載された研究によると、テアニンが睡眠の質を上げる可能性があるという。緑茶にはカフェインが含まれており、眠気を覚ましてしまうのではないかと思いがちだが、テアニンは興奮を適度に抑えてくれる。また、煎茶100g当たりに含まれるカフェインの量は、およそ20mg。成人の一日の上限は5.7mg/kg、妊婦は一日200mgまでなので、よほど大量に飲まない限りカフェインを摂り過ぎることはない。テアニンは、玉露や抹茶に多く含まれる。

効果を最大限に引き出す、お茶の淹れ方

緑茶の健康効果をより多く引き出すには、淹れ方にもコツがある。カテキンは80度以上の熱湯で抽出、テアニンは50度程度のお湯で蒸らし時間を長めにとるか水出しで抽出するといい。だが、どうしても茶殻にカテキンが残ってしまうため、茶葉をミキサーなどで粉末にして摂る方法が最も効果的だと言える。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部