2015.10.29

げっぷがよく出る人が受けたい検査とは?

げっぷの正体は胃から逆流した空気

げっぷ誰しも食後にげっぷの1つや2つすることはあるだろう。おそらく多くの人は生理現象として受け止め、気にも留めていないだろうが、その回数が増えたり、食後ではないときに出たりするようになると、不安を覚えるかもしれない。

げっぷは胃の中に入った空気が逆流することで生じる。本来、呼吸によって取り込まれた空気は、食道ではなく気管から肺へと進むため胃には到達しない。食事の際には食物と一緒に、ある程度の空気が胃へと運ばれるためげっぷが生じるのである。その頻度が極端に増えるようなことがあれば、なんらかの異常が発生している可能性がある。

異常なげっぷの背後にある病気とは?

胃に運ばれた空気は、食道裂孔などによって基本的には逆流しない構造をとっている。しかし食道裂孔ヘルニアを起こすと、胃の内容物が逆流しやすくなり、逆流性食道炎を併発しやすくなる。その結果、げっぷが生じやすくなるのだ。そのほか、げっぷが頻繁に生じるケースでは、食道炎や慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには食道がんや胃がんなども疑われる。これらは食道や胃の機能を障害するため、げっぷが生じやすくなるのだ。

いっぽう、空気嚥下症のように、臓器に異常がなくとも頻繁にげっぷが生じることもある。空気嚥下症とは、食事の際に大量の空気も一緒に飲み込んでしまう症状である。おもな原因はストレスで、腹部膨満感や吐き気などを伴うこともある。

げっぷと関連のある病気を調べる検査

げっぷがよく出る場合に受けておきたい検査は、胃内視鏡検査だ。食道から胃の内部にかけて、映像で病変部を確認することができる。食道裂孔ヘルニアや食道がん、胃がんなどの病変も見極めることが可能だ。そのほか、腹部レントゲンや腹部超音波検査などを併用して、げっぷの原因を調べることもある。

げっぷは日常的な生理現象であるが、食道や胃の病気が進行するにつれ、その回数も増えていくことがある。それだけに、げっぷに異常を感じたらまずは検査を受けておくことが望ましいといえる。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部