2017.6.5

日本が誇る健康食材「納豆」の知られざるパワー

どれだけ身体にいいの? 納豆の持つ健康パワーとは?

納豆は、大豆を納豆菌によって発酵させた発酵食品。納豆の起源には、さまざまな説があるが、日本が期限と考えられている。弥生時代とする説があるが、「納豆」という語句が確認できる最古の書物は、11世紀半ば頃に書かれた新猿楽記だ。納豆の生産地として有名な水戸では1083年を起源とし、商品化されたのは1889年(明治22年)のことだと伝えている。現在では身体によい発酵食品として身近だが、どのような健康効果をもたらしているのだろうか。

ビタミンB群の健康パワー

まずは、ビタミンB群の働きによるもの。納豆には、免疫機能を健全に保つ働きのあるビタミンB6や、肌や粘膜の健康を保つビタミンB2、コレステロールを減らす働きのあるビタミンEが含まれる。

ビタミン以外にも、便秘予防に効果的な食物繊維や鉄欠乏性貧血を防ぐ鉄分、エネルギーの代謝を助け動脈硬化を防ぐマグネシウム、骨や歯の形成に必要なカルシウムなど、多くの栄養素が含まれている。

納豆ならではの健康パワー

ナットウキナーゼの血栓溶解促進効果、イソフラボンによる更年期障害や骨粗鬆症の予防、大豆サポニンが肥満予防、肝機能を高める、中性脂肪を下げるなど、私たちの身体を健康に導いてくれる要素が詰まっている。

身体の中からキレイに。納豆の持つ美容パワーとは?

納豆は、美容にも大きな力を発揮してくれる。まずは健康効果と同様、ビタミンB群の働きだ。皮膚細胞を活性化させ、イキイキとした美肌をつくるとともに、美白効果も期待できる。また、糖質や炭水化物のエネルギー代謝を促進することで、ダイエットにも効果があるかもしれない。

そして、ビタミンEが女性ホルモンの分泌を促し、活性酸素を抑える働きをするため、シワ、たるみ、くすみなどを防ぎ老化防止に役立ちそうだ。さらには、レシチンが記憶力や集中力を高めるとも言われている。とくに短期的な記憶力に効果を発揮するため、試験勉強に役立つだろう。

やっぱり納豆は朝に食べる? 効果的な食べ方とは?

納豆といえば、朝食に食べるイメージがあるが、実は夜に食べるとより効果が出やすい可能性がある。そのひとつ目の理由は、血液をサラサラにするナットウキナーゼの働きだ。血栓は夜にできやすいため、夜に納豆を食べると、寝ているあいだにナットウキナーゼが血流をよくしてくれるのだ。気をつけたいのは、ナットウキナーゼは熱に弱いということ。70℃以上の熱を加えると効果が下がってしまうので、できるだけそのまま食べるようにしたい。

ふたつ目の理由は、成長ホルモンの分泌を促すアルギニンの効果を高めるため。人は眠りについてから2~3時間ほどで成長ホルモンが出はじめる。よって、朝に納豆を食べるよりも夜のほうが望ましいといえる。そして、納豆は食べ合わせによっても効果を発揮する。美肌効果にはアボカドやマグロを、疲労回復にはネギや梅干しやショウガを、腸の働きを整えたい場合にはオクラやキムチを混ぜて食べるとよい。

納豆は、より発酵が進むと効果や栄養が高まるため、購入後しばらく寝かしてから食べるのが最も効果的だといえる。また、冷凍しても納豆菌は死なず、栄養が損なわれる心配はないが、熱には弱いため解凍はレンジではなく自然解凍が望ましい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部