油は悪か? 善か? 最新の研究に基づく油の健康への影響や勘違いを、アンチエイジング研究の第一人者・白澤卓二氏が解説。「いつまでも若々しさと健康をキープしたい」という願いを叶える、油との上手な付き合い方が判明。

2016.9.1

脂質カット vs 糖質カット! ダイエット効果があるのはどっち?

米国で大人気。糖質オフダイエットのうれしい効果

RR3_31B
巷ではさまざまなダイエット法(減量法)が試されているが、ダイエットは長期にわたって体重を管理でき、しかも健康的でなければ意味がない。最近では糖質オフダイエット法がその減量効果のみならず、血糖値を下げることがわかり、糖尿病で血糖値が気になる人の間で広まっている。糖質オフダイエット法とは、その名の通り食事の糖質を制限するもので、炭水化物の量を減らし、たんぱく質と脂質を中心に摂っていく。

糖質オフダイエット法のなかでもとくに、ココナッツオイルを使ったケトン体ダイエット法は、アルツハイマー病患者の認知機能の改善が認められたという米国での報告以来、日本でも注目されている。

しかしながら、糖質オフダイエットやケトン体ダイエットで用いられる高脂肪食に関しては、生活習慣病への影響を心配する人も多い。さらに低糖質ダイエットと低脂肪ダイエットでは、どちらのダイエット法が、減量効果が長期間持続するかについて、これまでに何十年におよぶ議論が続いている。

減量のために、脂肪摂取量を減らすことは正解?

米国ハーバード大学医学部ブリガムウイメンズ病院のディアドレ・トビアス博士らの研究チームは、低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットに関する長期的効果を調べたこれまでの臨床試験を包括的にレビューした。計68,128 名の参加者を含む53件の臨床試験を行い、低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットの体重減少効果を1年以上にわたって追跡調査した。

解析の結果、低糖質ダイエット群のほうが低脂肪ダイエット群より、長期的な体重減少効果が平均1.1kgも優れていることがわかった。さらに研究チームは、低脂質ダイエットで体重減少が認められたのは、対照群が通常食としてなにも食習慣を変えなかった場合だけであることを確認した。減量のためには脂肪摂取量を減らすことは広く受け入れられている教義のひとつであるが、トビアス博士は「既存の科学論文は、低脂肪ダイエットが長期的な減量に適したダイエットであるとの科学的証拠を得られなかった」と主張。減量法は文化と嗜好と健康状態に合わせたものであるべきことを強調する。


白澤卓二氏の新着記事

,

Colorda編集部