120歳までチョコレートとワインを欠かさなかった、長寿世界一の女性
この世の中で最も長生きしたフランス人女性ジャンヌ・カルマンさんは122歳まで元気に長生きしたが、大好きだったチョコレートと赤ワインは120歳になっても欠かした日はなかった。どちらも抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれ健康長寿にはよい作用がある。とくに赤ワインには「レスベラトロール」という長寿遺伝子のスイッチをオンにするポリフェノールの一種が豊富に含まれている。また、チョコレートもワインの3倍近くもポリフェノールを含む抗酸化食材だ。100mlの赤ワインに含まれるポリフェノールは0.3g程度だが、100gのチョコレートには0.8gものポリフェノールが含まれている。
ポリフェノールを摂るなら、ワインよりチョコレート
徳島大学食品機能学の寺尾純二教授等の研究によると、成人男性を対象にした実験で100gのチョコレートを食べると、摂取したカカオマスポリフェノールの一種「エピカテキン」の約30%が体内に吸収され、血漿(けっしょう)で抗酸化能力が増強することが確認されている。血漿とは血液の50〜60%を占める液体で、ブドウ糖やたんぱく質など生命維持に欠かせない成分が溶けているものだ。教授は、赤ワインやお茶ではポリフェノールが「せいぜい10%しか吸収されない」点を指摘している。
実はカカオは低カロリーな健康食材
元来、チョコレートは太りやすいと思われているが、茨城キリスト教大学の板倉弘重名誉教授は、「カカオバターの主成分ステアリン酸は吸収率が低く、低カロリーなので意外にも健康的な食材」である点を強調する。さらに、このステアリン酸には血中コレステロール値を下げる効果、カカオ成分には虫歯を抑制してくれる効果もある。
さらに私が注目しているのは、東京薬科大学の井上英史教授らの研究結果。線虫のエサに、カカオ豆から抽出した「プロシアニジン」という成分を混ぜて与えたところ、酸化ストレスが抑えられ線虫の平均寿命が延びたのだ。酸化ストレスは、動脈硬化、糖尿病、がんなど多くの病気の引き金になる。晩年までチョコレートを食べ続けたカルマンさんが、「長生きの秘訣は何ですか?」という質問に「長生きの秘訣は病気をしないことだ」と答えた理由も毎日食べていたチョコレートに潜んでいたのかも知れない。