今、話題の「ケトン体」。
糖質オフダイエットで、一躍有名になったケトン体は
アルツハイマー病の改善や乳がん予防の分野でも注目されている。
「いつまでも若々しく、健康でありたい」という願いを叶える
ケトン体の魅力に迫る。

2016.4.7

ケトン体ダイエットは、乳がんの再発予防にも効果あり

炭水化物を減らせば、乳がん再発率が半減

Doctor holding roentgen film and woman on pink bra
ケトン体ダイエットは、簡単に食事のなかの炭水化物を減らすことで減量できるので、肥満傾向にある人やメタボで悩んでいる人の間で最近、話題のダイエット法だ。もともと癲癇(てんかん)の治療食として90年以上前から臨床応用されてきているが、最近では、体重減少の効果のみならず、乳がんの治療にも効果があると注目されている。

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校モーレスがんセンター・がん予防プログラムの研究リーダーのルース・パターソン博士らは、256名の乳がん患者における炭水化物(糖質)の摂取量と乳がんの再発率の関連性を検討した。調査の結果、炭水化物の摂取量が多い乳がん患者は、少ない乳がん患者に比較して乳がん再発危険率が2.0倍に上昇していることがわかった。

乳がんは細胞の増殖因子であるIGF-1(インスリン様増殖因子-1)の受容体の有無で、IGF-1受容体陽性の乳がんとIGF-1受容体陰性の乳がんに分類できる。約半分をしめるIGF-1受容体陽性の乳がん患者では、炭水化物の摂取量が多い患者の再発危険率がなんと5.5倍にも上昇していることが今回の調査で明らかとなった。一方でIGF-1受容体陰性の乳がん患者では炭水化物の摂取量と再発率の関連性を見いだすことはできなかった。

IGF-1受容体はインスリン受容体に密接に関連していることから、パターソン博士は、過剰摂取した糖質がインスリンの分泌を増強し、分泌されたインスリンが更にIGF-1受容体を介してがん細胞の増殖シグナルを増強した可能性を指摘する。

がん予防にも、ダイエットにも、ケトン体

今回の研究で、乳がんの再発予防のために炭水化物を制限する必要性が明らかとなり、ケトン体ダイエットを指導する必要性が確認された。ケトン体ダイエットは、通常1日に200〜300g摂取している炭水化物の摂取量を20〜40gに制限し、糖質の代わりに脂肪をエネルギーとして使うダイエット法。極端なカロリー制限をせずに、体重と脂肪を減らせるという点でも、健康管理に有効だ。

そして乳がんの再発予防だけでなく、一次予防するという点でも、ケトン体ダイエット法のように、若い頃から精製穀物や果糖食品などの糖質を控え、繊維が豊富な野菜・豆類・果物を中心に摂取する食事が重要といえる。


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Colorda編集部