2015.12.17
20代男性の健康リスク

20代男性が受けるべき人間ドック

低年齢化する生活習慣病

S_ThinkstockPhotos-46859827220代の男性と言えば、一般的に健康で病気とは無縁だと思われがちであるが、若いからといって健康管理を疎かにすれば将来的な病気のリスクを高めることになる。そもそも現代の20代は幼いころから西欧化した食事に親しんでおり、生活面でも運動不足の傾向にあるため、生活習慣が原因の病気には注意したい。また20代は、生活環境の変化によって生活リズムが乱れたり、仕事のストレスを感じたりするようになる時期でもあるので、無理をせず心身ともにメンテナンスをすることが大切だ。

実際のところ、糖尿病、高血圧、高脂質症などのいわゆる生活習慣病が若い世代で増加しており、その傾向はとくに男性に顕著である。原因のひとつとして、幼少期から糖質と脂質の多い食生活を続けてきたことが挙げられ、20代でもメタボリックシンドローム予備軍と診断されるケースが少なくない。飲酒や喫煙の習慣が継続すれば高血圧、肝機能障害、動脈硬化などのリスクも高まっていく。

生活習慣病の多くは自覚症状を伴わずに進行し、心臓病や脳梗塞、がんなどの原因となるので、とくに肥満傾向であったり、飲酒、喫煙、睡眠不足、偏食など、自分の生活習慣に心当たりがある場合には、検査を受けて早めに病気の兆候をとらえておきたい。

20代に増加する痛風

体内に尿酸が結晶化して蓄積し、関節炎などの症状を引き起こすのが痛風である。中高年の病気とされてきたが、最近になって20代の若年層でも発症する例が増加している。発症者の9割以上が男性だ。これも原因は食生活にあり、尿酸の元となるプリン体を多く含むアルコール飲料や食物を過剰摂取する事で高尿酸血症となり、痛風に至る。

公益財団法人通風財団の発表によると、プリン体含有量が多いとされる食材は、100gあたり200〜300mgのプリン体を含み、それ以上は極めて多いとしている。レバー類やホルモン、白子や魚介類を好んで食べている人は、血液検査の尿酸値に注意が必要だ。高いと診断された場合には、医師の指導で食生活を改善、1日400mgを目安にしたプリン体の摂取制限をする必要がある。

また20代に比較的多くみられるのは、ストレス性胃潰瘍・十二指腸潰瘍や腸疾患である。食欲不振や胃痛、便通異常(下痢や便秘)などの症状が続くようであれば、消化器系の検査を受けた方がいいかもしれない。

20代の無理は、後々、不調や病気として表面化してくる。今は健康であっても、将来のために一度、全身を検査し自分の身体の状態とリスクを知ることが大切だ。とくに生活習慣病は自覚症状がなく、知らないうちに進行している可能性も。人間ドックなどを利用して健康管理を見直してみてはいかがだろうか。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部