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2017.1.12

Vol.4 メタボまっしぐら!? “7つの健康習慣”から始めよう【ケーススタディAさん】

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Aさん(36歳男性、豊島区在住)
家族:妻、長女(6歳)
職業:会社員(メーカーのマーケティング担当)

【生活】
●デスクワーク中心、都内での往訪アポが週2~3回ある。
●学生時代はバンド活動をしており、体系は痩せ型。24歳で就職後、定期的に運動することはなく、少しずつお腹が出てきていることが気になっている。
●常になんらかの新製品開発プロジェクトに関わっており、残業が多い。
●休日は家族と過ごし、子ども中心に公園で過ごすことが多い。

【健診】
会社の健康診断で2~3年前まではオールA判定だったが、B判定の数が増えてきた。再検査の項目はないので、あまり気にしていない。

【食事】
●野菜が苦手。時間、食べる量ともに不規則。
●子どもができてからお酒は控えめ。喫煙有。

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■健康診断ではここを見よう!
血圧、血糖値、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール

■プラスアルファで受けたい検査はコレ!
●大腸CT
●胸部CT

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知らないうちに忍び寄る、脳梗塞の危険性

Aさん同様、ぽっこりお腹に悩む男性は30代になるにつれ増加します。健診データを分析すると、男性では20代後半~30代から肥満になる人が増え、その後、血圧や血糖が高くなるケースが多いです。喫煙や飲酒などの生活習慣、仕事上のストレスなどが次々と重なるためです。

高血圧、高血糖は動脈硬化の危険因子、そして動脈硬化は脳梗塞のおもな原因です。男性は若いころに体力があるため、年齢を重ねても自身の体力を過信しがちです。仕事でも日常生活でも、自覚している以上に身体に負担がかかっていることが多く、その結果として、脳梗塞の危険性が知らず知らずのうちに高まっているかもしれません。健康診断の結果では、糖尿病関連データ(血圧、血糖値)と高脂血症関連データ(中性脂肪、HDLコレステロール、とくにLDLコレステロール)をチェックしましょう。

また、野菜をまったく摂取しない場合、必ずしも病気になるわけではありませんが、リスクは増大すると言えるでしょう。発症リスクの度合いは、偏食がひどければひどいほど増す傾向にあり、野菜嫌いでも、ほかの果物や海藻類、豆腐やおからなど、いろいろな種類の食べ物を摂取する人ほど、リスクは低くなるようです。

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Aさんの“ハイリスク疾患”はズバリ、大腸ポリープと肺がん

座りっぱなしの人は、「大腸ポリープ」ができやすいと言われていて、1日7時間未満の人と11時間以上座っている人を比べたところ、11時間以上の人は大腸ポリープのできやすさが約2倍との報告もあります。一度は大腸CTでチェックしましょう。異常がなければ3年に一度の検査を心がけましょう。

喫煙は「百害あって一利なし」とよく言われますが、まさにさまざまな疾患の要因とされています。がんもそのひとつで、とくに咽頭、喉頭、食道、肺がんは非喫煙者より明らかにリスクが高くなります。胸部CTは定期的に受診したほうがよいでしょう。

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平均余命に10年の差!? 「ブレスローの7つの健康習慣」

健康と生活習慣との関係については、「ブレスローの7つの健康習慣」(Belloc N.B.and Breslow J., 1972)という提唱があります。ブレスロー博士は、健康習慣から以下の7つを選び、実施している健康習慣の数の多い者ほど疾患の罹患が少なく、また寿命も長かったことを明らかにしました。

  1. 適正な睡眠時間
  2. 喫煙をしない
  3. 適正体重を維持する
  4. 過度の飲酒をしない
  5. 定期的にスポーツをする
  6. 朝食を毎日食べる
  7. 間食をしない

ブレスロー博士の名前は知らなくとも、全部あるいは一部をどこかで目にしたり耳にしたりしたことがあるのではないでしょうか? 40年以上前の研究ではありますが、このうち6項目以上を実行できている人と3項目以下の人とでは、55歳男性の比較において平均余命に約10年もの差があったそうです。

厚生労働省によると、生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことを指しており、例えば以下のような疾患が含まれるとされています(※1)。

食習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等
運動習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等
喫煙:肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病等
飲酒:アルコール性肝疾患等

病気は遺伝子の異常や加齢を含めた「遺伝要因」、病原体、有害物質、事故、ストレッサーなどの「外部環境要因」、食習慣、運動習慣をはじめとする「生活習慣要因」などさまざまな要因が複雑に関連して疾病の発症及び予後に影響しています。対策を考えた場合、「遺伝要因」や「外部環境要因」に対しては個人で対応することが困難である一方、「生活習慣要因」は個人での対応が可能ですので、日ごろからの習慣に注意して定期的な健診を心がけましょう。

※1 厚生労働省1996年12月17日公衆衛生審議会意見具申「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」

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Colorda編集部