忙しいと、ついついおろそかになりがちな食事。
栄養バランスの悪さが気になりつつも結局何もしていない方、必見。旬な食材や話題の栄養価に着目し、気負わずに取り入れる方法を紹介していく。
普段の食事をほんの少しだけ見直していこう。(全6回)

2016.9.29

Vol.5 20年後、30年後の健康を左右する!? 牛乳や乳製品を摂ろう

国民栄養調査で一度も摂取基準を満たしたことのない栄養素

20年後、30年後の健康を左右する!? 牛乳や乳製品を摂ろう皆さんは日頃、意識して乳製品を摂っていますか? 乳製品はカルシウムが豊富で骨の成長によいというのはご存知ですよね。しかし、今さら骨の成長は関係ない、カロリーが高そうで避けているという方もいるのではないでしょうか。実は乳製品には骨粗鬆症のほか、肥満や高血圧などの生活習慣病を予防する働きがあるのです。

体内のカルシウムのうち約99%は骨や歯に含まれていて、骨はカルシウムの貯蔵庫の役割を担っています。カルシウムが慢性的に不足すると血液内のカルシウム濃度を維持するために骨に貯蔵しているカルシウムを血液中へ排出します。その状態が長く続くと骨のなかのカルシウム量が減り、骨粗鬆症の原因となるのです。骨粗鬆症になってしまうと骨が非常にもろく骨折しやすくなり、それが原因で寝たきりになってしまうこともあります。とくに女性は閉経後のホルモンバランスにより骨粗鬆症になりやすいと言われています。

また、イライラしていると「カルシウム不足?」なんてからかわれたことはありませんか? 実はこれもあながち間違いではないのです。カルシウムには神経の興奮を鎮める働きがあります。通常、カルシウムが不足すると骨の貯蔵庫から補うのですが、慢性的に不足すると神経の興奮を抑制できなくなるため、イライラの要因のひとつとも言われているのです。

身近な栄養素でありこれだけ大切なカルシウムですが、実は国民栄養調査が始まってからの約70年間、一度も摂取基準を満たしたことがなく、飽食の時代にも関わらず多くの人が不足しがちな栄養素なのです。そんなカルシウムを手軽に効率よく摂れるのが、牛乳をはじめとした乳製品。カルシウムの推奨量は650~700mg/日ですが、牛乳ならコップ1杯(200㏄)、ヨーグルトなら2食分(200g)で、その約3分の1を摂ることができるのです。同様のカルシウムを食卓の定番、シシャモで摂取しようとすると約4尾分。魚でカルシウムを摂取するには骨まで食べられることが前提ですが、シシャモや小魚を毎日食べ続けるのはなかなか難しいもの。それらを摂りつつも、乳製品で手軽な摂取を習慣づけたいところです。

さらに、骨の健康のためにぜひカルシウムと一緒に摂ってほしいのが「ビタミンD」。ビタミンDは摂取したカルシウムの代謝を促進する重要な栄養素です。ビタミンDはきのこ類に多く含まれていますが、生のままではなく乾燥させているものがおすすめ。というのも、ビタミンDは紫外線照射により生成される性質があり、天日干しの過程でビタミンDが増えるためです。また、生でも乾燥でも、調理前に30分~1時間程度、日当たりのよい場所に置いておくだけでビタミンDが生成されますので、余裕があればぜひ。

牛乳で高血圧予防ができるのはナゼ?

乳製品は高カロリーというイメージがあるかもしれません。牛乳、ヨーグルト、チーズ、生クリーム、バター…ひとくちに乳製品と言っても多くの種類があります。確かに、製品によっては、脂質やカロリーを摂りすぎる可能性があります。しかし、牛乳を1日1~2杯飲む程度であれば、摂りすぎということもなく、血清コレステロール値の上昇にも影響を与えないとも言われています。適度な甘みで満腹感が得られ、食べ過ぎや間食を抑える効果が期待できるので、肥満対策にもぜひ取り入れたい飲み物です。

また、牛乳を習慣的に飲んでいる人はそうでない人よりも血圧が低い傾向にあるという疫学研究があります。乳製品には高血圧の大きな原因である塩分を体から排出してくれる「カリウム」が豊富に含まれています。カリウムと言えば果物ですが、身近な果物ではバナナがその筆頭。牛乳ならコップ1杯、ヨーグルトなら2食分で小さめのバナナ1本分に相当します。

おなかがゴロゴロしちゃう…それは乳糖不耐症が原因

実は日本人の成人のうち約1割は「乳糖不耐症」だと言われています。乳糖不耐症とは、「牛乳を飲むとおなかが痛くなる」というもの。牛乳に多く含まれる乳糖は通常、「ラクターゼ」という酵素により分解されるのですが、これが不足すると分解しきれずに腹痛や下痢を引き起こしてしまうのです。

最近では、乳糖が既に分解された状態の牛乳が市販されています。また、牛乳は製造過程で加熱処理が行われており、温めても栄養価が大きく変わることがないので、ホットミルクにしたりカフェオレにしたりして少しずつゆっくり飲むのもいいですよ。少しずつ飲めばラクターゼの働きが弱くても消化に負担がかかりにくいというわけです。ほか、ヨーグルトは一部の乳糖が分解されているので、乳糖不耐症の方にもおすすめです。なお、チーズやバターは製造過程でほとんどの乳糖が取り除かれるため、乳糖不耐症は起こりません。

さて、身体によいことはわかった、乳糖不耐症でもない、でもどうしても牛乳は苦手…という方は、おやつやおつまみにチーズを取り入れてもいいですね。6分の1にカットされたタイプのチーズ2つで牛乳1杯分のカルシウムが補えます。ただし、チーズには塩分がたくさん含まれていますので、チーズだけで摂ろうとせずほかの乳製品も組み合わせたり、チーズ以外のおつまみは塩辛いものは避けたりするようにしましょう。

 


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Colorda編集部