肛門から内視鏡を挿入し、大腸の状態を観察する検査
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターによると、2014年の大腸がんの死亡数は、全がんのなかで男性は3位、女性は1位。罹患数は、男女ともに2位だ。初めての大腸がん検査シリーズ第1回は、男女ともに注意が必要な大腸がんの検査の仕組みを詳しく解説する。
大腸がんを調べる大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡という器具を挿入し、大腸内の病変をリアルタイムで調べる検査である。内視鏡自体は細いコードのような器具で、湾曲した大腸内を自在に移動することが可能だ。
医師のスキルにより、検査時の痛みが変わる
肛門に挿入する際に、痛みや違和感を感じる場合があるほか、大腸の内壁に内視鏡が接触する際にも痛みを感じることがあるため、検査を行う医師の熟練度に依存する面が強い検査でもある。ちなみに、大腸内視鏡の先端には、カメラが設置されており、映像を通して大腸内の状態をリアルタイムに観察することができる。
大腸内視鏡検査でわかること、できること
大腸内視鏡検査では、カラー映像で大腸内をリアルタイムに観察することができるため、大腸粘膜に炎症があったり、腫瘤や潰瘍があったりすれば直接目で見て確認することが可能だ。腫瘤の大きさや性状も見分けることができるため、悪性か良性かの判断もしやすい。もちろん、確定診断には、生検が必要なことが多く、その場合は内視鏡を通してその場で組織を採取する。あるいは、摘除が必要な病変と判断されれば、即時切除することも可能だ。
大腸内視鏡検査の受け方
大腸内視鏡検査を受ける場合は、食事制限が行われる場合が多い。大腸内をきれいにするためだ。少なくとも、前日の夕食は夕方ごろに済ませておき、消化によいものを通常より少なめに食べるなど調整したい。当日の朝からは飲み物も含め、飲食は大きく制限される。また、検査の数時間前からは下剤を服用し、腸内の残留物を排泄する。
検査自体は診察台に横たわった状態で行われる。鎮静剤を使用するケースが多く、内視鏡挿入に伴う痛みは緩和される。検査の所要時間は数10分。検査後は激しい運動は避け、できるだけ安静に過ごし、食事は検査後1時間程度で摂ることが可能になる。
大腸内視鏡検査は肛門から器具を挿入する特異なものではあるが、がんの早期発見に極めて有用な検査だ。大腸がんのリスクがある年代や、家族に罹患した人がいる場合は、医師に相談し、定期的に検査を受けてほしい。
