2017.5.18
悪性腫瘍

悪性腫瘍と良性腫瘍の違いはなにか?

坂口 海雲(さかぐち みくも)
この記事の監修ドクター
福島吉野スマイル内科・循環器内科 院長
日本内科学会認定内科医/日本医師会認定産業医/日本循環器内科学会所属医

良性腫瘍と悪性腫瘍を見極める3つのポイント


腫瘍は「できもの」であり、良性と悪性に分けられる。ではこの良性腫瘍と悪性腫瘍はどのように見分けられるのだろうか? ポイントはおもに3つある。

増殖スピード

悪性腫瘍、つまりがん細胞は一般の細胞より増殖するスピードが比較的速く、良性腫瘍と異なり、まわりの組織を巻き込んで広がっていく。悪性腫瘍が急激に増えると、正常な細胞に栄養や酸素が供給されず、腫瘍部分以外にも悪影響が及ぶ。

形状

良性腫瘍は、腫瘍の境界線が滑らかで形も球体など整っているのに対し、悪性腫瘍は境界線が不明瞭で形状がギザギザなど不均一に見える特徴がある。これは悪性腫瘍が一般的な細胞とは異なり、規則的ではない増殖をしてまわりの組織を侵していくためだ。

浸潤

がん細胞の最大の特徴は、浸潤だ。悪性腫瘍は、まわりの組織や臓器にも入り込み広がっていく。ときには筋肉、ときには骨にまで浸潤していき、転移を引き起こし全身に影響を与える。この浸潤は、良性腫瘍では起こらない現象だ。

また臨床現場では、がん細胞は独特の硬さがあると言われている。一般的には、正常な細胞に比べ硬い傾向がある。ただし、硬ければ必ずしもがんというわけではない。石のように硬く石灰化した腫瘍は良性の場合がある。これらは、手術による細胞摘出などの現場で培われてきており、現状では基準値はない。医療関係者以外は、悪性なのか良性なのかを混乱しがちだ。例えば、女性特有の疾患である子宮筋腫などが挙げられる。

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子宮筋腫は良性? 悪性?

結論から言うと、子宮筋腫は良性腫瘍だ。増殖スピード、形状、浸潤の判断基準からみて問題はない。細胞が膨らむように大きくなった腫瘍であり、転移する可能性や、切除などの手術後に再発する危険性も低い。同様に脂肪細胞内にできる「脂肪腫」や乳腺にできやすい「腺腫」も良性腫瘍だ。

ただし、良性だから身体に無害というわけではない。場合によっては命に関わる可能性もあるため、腫瘍の状態や場所などから判断し、手術で取り除くなどの処置が必要になる。

腫瘍を早期発見し、良性か悪性かを判断するためには、がん細胞に反応する腫瘍マーカーと呼ばれる血液検査や、画像診断が有効だ。とくに悪性であった場合は、がんのステージで治療方法やその後の生活の質が大きく変わってくるので、定期的なチェックを心がけてほしい。

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悪性腫瘍と良性腫瘍についての補足

悪性腫瘍で厄介なのががん性悪液質だ。たとえば、肺がんで人間が死ぬ場合を考えて欲しい。肺がんのせいで、肺がつぶされて息が出来なくなるからだろうか。いや、違う。病理解剖を行うと、肺がんで死亡した人の肺のうち、がんが占める割合はせいぜい20-30%程度だ。残りの70%以上の肺は正常に機能している。つまり、肺がんのせいで息が出来なくなって死ぬわけではないのだ。

では、なぜ肺がんで人は死ぬのだろうか。その答えが、がん性悪液質だ。がんをはじめとする悪性腫瘍は、良性腫瘍とは違ってふつうの細胞では絶対に出さない物質を多量に分泌する。わかりやすく言うと、毒を分泌するのだ。その毒のせいで、体力を大幅に削られ、免疫機能は低下し、身体は痩せ衰える。つまり、人間は悪性腫瘍そのもので死ぬのではない。悪性腫瘍が作り出す、毒によって死ぬのだ。


Colorda編集部