前立腺がんと乳がんの増加は、食事が原因?
がんは日本人の直接の死亡原因の第1位の病気。しかし、すべてのがんが増加しているわけではない。胃がんや肝臓がんの死亡率は減少しているが、そのほかのがんの死亡率が増加しているのが現状だ。
がんの死亡率で増加率がもっとも顕著なのが、男性の前立腺がんと女性の乳がんだ。これらのがんの発症はホルモンに関係していると言われているが、その原因は食事の欧米化が、大きく影響していると言われている。
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脂肪分、乳製品の取りすぎが、前立腺がんの原因に
高脂肪の食事は、前立腺がんのリスクとなることが知られている。また乳製品の摂り過ぎは、前立腺がんや卵巣がんのリスクを高めると報告されている。
国立がん研究センターが日本人4万3000人を追跡した大規模調査でも、乳製品の摂取が前立腺がんのリスクを上げることを示し、カルシウムや飽和脂肪酸の摂取が前立腺がんのリスクをやや上げることが明らかとなっている。
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前立腺がんになりにくい調理法が判明!
また、調理法も前立腺がんの発症には重要な要素になるようだ。最近、肉の種類を選択することや肉の調理法で、前立腺がんが予防できる可能性が報告されて話題になっている。
南カリフォルニア大学公衆衛生学教室のアミット・ジョッシ博士らの研究チームは、早期前立腺がん患者717人、進行性前立腺がん患者1,140人、対照群1,096人の計2,953人の食事内容を調査し、前立腺がんの発症との関連性を調査した。
ジョッシ博士らは食事に関して、とくに肉の摂取頻度やその調理法に注目した。その結果、豚肉や牛肉などの赤身肉を、週に1.5回以上、フライパンでこんがり焼いて食べている人は進行性前立腺がんの危険率が30%も上昇していることを発見した。直火焼きなど高温調理の赤身肉を、週に2.5回以上食べると危険率がさらに40%まで上昇。興味深いことに、ステーキより、内側まで火が通りやすいハンバーグの方が、危険率が高かった。
一方、鶏肉の危険率を調べると、フライパン調理では赤身肉と同じく危険率が上昇したが、直火焼きでは逆に危険率が低下した。
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煮物や蒸し物が多い日本食が前立腺がんを予防する
高温調理ではタンパク質から発生するHCAs(ヘテロ環状アミン)と呼ばれる物質、脂質の焦げ部分に含まれるPAHs(多環状芳香族炭化水素)とよばれる物質などが、前立腺細胞の代謝により発がん物質に変化する。それにより発がん性が上昇する可能性をジョッシ博士は指摘する。
これらのデータから、焼き肉の食べ過ぎは控えた方が良さそうだか、焼き鳥を食べるときには、フライパンを使ったグリルでなく、焼鳥のような直火料理を選択した方が良さそうだ。
実際、日本食は欧米の肉料理に比べて、フライパンによるグリルより、煮物や蒸し物が多い。日本人の前立腺がん罹患率が米国より少ないのは人種の差より食文化の調理の差にあるかもしれない。
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