筋力と骨密度と認知機能の切っても切れない関係とは?
筋力と骨密度と認知機能には密接な関係がある。この3つの要素が連動して、高齢期の“生活の質”を支えていることが知られている。
筋力が落ちると骨密度が低下し、転倒骨折から認知機能低下をきたし、認知症を発症する。認知機能が低下すると筋力が低下し、その結果、さらに骨密度が低下し歩行が困難になる。このような筋力低下は一般に介護が必要になる70歳以降の問題だと考えられがちだが、最近の調査で筋力低下が既に40歳代で始まっていることがわかった。
40歳以降は10年ごとに8%以上も筋肉量が減っていく
マドリッドのラモン・イ・カハル大学病院・老年科のアルフォンソ・クルツ・ヘントフト博士は、これまでに公表された高齢期の筋肉量低下に関する論文18編を包括的にレビューした結果、一般的に40歳以降10年毎に約8%筋肉量が減少し、70歳を過ぎると筋肉量の減少は10年毎に15%にも達すると指摘する。
この筋肉量の減少を少しでも遅らせる方法として、レジスタンス・トレーニング(筋トレ)や良質のタンパク質の摂取、アミノ酸の摂取が有効であることが多くの研究で示されている。しかし、これまで認知機能を保つために最低どの程度の運動が必要かに関してはよく知られていなかった。
20分の筋トレで記憶力が10%アップ!?
最近、米国アトランタのジョージア工科大学の心理学科のリサ・ワインバーグ博士らの研究チームは、たった1回の20分の筋トレで記憶力が10%アップすることを明らかにして話題を呼んでいる。
20分の筋トレの48時間後に2日前に見た90枚の写真をどの程度記憶できているかどうか23名の被験者で検討した。その結果、負荷なしの運動群が50%の写真を思い出せたのに対して筋トレ群の被験者は60%の写真を思い出すことができた。20分の筋トレ1回で2日間認知機能が増強するので、隔日の筋トレでも記憶力を増強できるかもしれない。